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連載池上彰「WEB 悪魔の辞典」

池上さんが、日本のエアライン機内で考えた「忖度の本質」

池上さんが、日本のエアライン機内で考えた「忖度の本質」

そんたく【忖度】――池上彰「WEB 悪魔の辞典」

2018/04/27
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 池上彰さんの新連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!

【忖度・そんたく】

 一般社会では気配りと評価されるが、官僚社会では政治家に裏切られることも。

【池上さんの解説】

 忖度とは、実に日本的な言葉だ。サービス業で働く人たちにとって、なくてはならない能力になっている。

 お客が何を望んでいるかを瞬時に判断し、その要望を先取りする能力は素晴らしい。以前、飛行機の座席に座って風邪薬を取り出した途端、客室乗務員が気づいてコップに入れた水を持ってきてくれた。一口飲んで驚嘆。水だと思ったものは白湯だった。

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 これがアメリカのエアラインだったら、薬を取り出しても声をかけて来ないだろうし、水を頼んだら、本当に水を持ってきただろう。

安倍晋三首相 ©文藝春秋

 民間の会社組織でも、とりわけ秘書課の社員は、取締役や社長、会長が望んでいることをいち早く察知することが求められている。

 しかし、総理夫人が関係している学園であれば特段の配慮をするなどの忖度は、いったん世の中の明るみに出ると、政治家が「自分は無関係だ」と否定するもの。官僚は、忖度は自己責任で行い、うまくいって当たり前、失敗したら自分で責任を取るという過酷な世界に生きている。

池上彰「WEB悪魔の辞典」のコーナーでは、池上さんの解説を聞いてみたい新用語を募集しています!

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