〈毎月、診療所に通って痛風の薬をもらっているメンバーは、薬代のほかに、診療所で毎月約4000円の医療費を払っている。自己負担は1200円だ。年間だと医療費約5万円、自己負担は1万5000円となる。これを仮に年2回の通院で済ませることが出来れば、年間8000円、自己負担は2400円に抑えられる。家計にとっても大きい。そして国民全体で行われれば国民医療費は兆円規模で削減される〉
普及すると誰が困るのか
良いことづくめのように思えるリフィル処方箋だが、現在、処方箋全体に占める割合はわずか0.05%だ。憂国グループ2040も〈そんな制度、現時点では存在していないのと同じである〉と指摘する。なぜ普及していないのか。
〈(花粉症や痛風の)患者が、通常訪れるのは近くの診療所(クリニック)だ。もしリフィルが普及すれば、薬をもらいにくるだけの患者は減ることになる。その結果、診療所の医師にとっては、(中略)手間のかからない楽な患者が減ることによって収入が減ってしまう。経営問題になるのだ。我々は、このデメリットが診療所にとって大きく、医師が普及を拒んでいるのではないかと推測している〉
医療機関がリフィル処方箋を使わなくとも法的な問題はなく、現実にリフィルを拒む運動をしている医療団体もある。医療団体の反対によってリフィル処方箋が普及していないのであれば、医師の収入という既得権によって患者の利益が阻害されている格好だ。
憂国グループ2040は、開業医の利益を代表すると言われる日本医師会に対しても苦言を呈する。
〈日本医師会は、前会長だった中川俊男氏が、安易にリフィルの導入を認めたことで会員の総スカンを食って退任に追い込まれたという報道もあるくらいだから、抵抗勢力なのだろう〉
そうした中で、今後は、患者の側こそが変わる必要がある。一人ひとりが「リフィルをお願いします」と希望するようになれば、医療機関側の対応も変わり、普及率は上がっていくだろう。
憂国グループ2040がリフィル処方箋推進の意義や、開業医の問題点を指摘した「開業医の既得権を打破せよ」は「文藝春秋」7月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
開業医の既得権を打破せよ