1ページ目から読む
2/3ページ目

「死ぬ」「殺す」とクレーム、“真っ黒な手紙”が会社に届き…

「まず前提として、依頼者が夜逃げ屋を利用したかどうかを加害者が知る術はないんです。夜逃げ屋を使わずに逃げる方法もたくさんありますからね。それでも、社長や会社宛にクレームはよく届きます。つまり、『この夜逃げ屋を使った“かもしれない”』という想像で言っているだけなんですよね」

「夜逃げ屋TSC」では現在、社長もスタッフも、誰ひとり“顔出し”はしていない。もちろん、マンガ家の宮野さんも例外ではない。メディアやSNSで顔を出してしまうと、夜逃げを手伝っている最中に「あの人、夜逃げ屋の人だ。ということはつまり……」となってしまう。それ以外にも、被害者が夜逃げ屋を利用した痕跡は残さないよう徹底している。それでも、クレームは日々届くという。その中には、クレームの域を超えるものも少なくない。

加害者にバレないよう夜逃げをしても、会社にクレームが届くという(写真=宮野さん提供)

「殺害予告が届くこともあります。メールで届くこともあるし、手紙で届くこともある。事務所宛にかわいい封筒が届いて中身を確認したら、8枚くらいの便箋を真っ黒に塗りつぶすように『死ね』『殺す』という言葉が無数に書かれていたこともありました」

ADVERTISEMENT

 危険と隣り合わせにもかかわらず、マンガ家の宮野さんが8年以上もこの仕事を続けているのはなぜなのだろうか。