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 たしかに白井さんも大林さんもオンステージでいきいきと楽しみながら働いている姿が印象的だった。彼女たちの思い切りのいい生き方を見ると、やはり女性は強いのかもしれないと思ったものだ。

ブラック企業社員→ディズニーキャストになった橋本君

 カストーディアルキャストの橋本君は、大学卒業後、某ホームセンターに就職して早々、そこがブラック企業だと気づいたという。

「品出しがチョーたいへんなんですよ。ソファーとかベッドとか鉄パイプとか開店までに並べるだけで死にますよ。で、閉店後も仕事があって夜11時とかまで店にいて、残業代もほとんどつきませんから」

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 彼は入社して1年弱で辞めたという。

 その後、いくつかのアルバイトを経て、ディズニーランドに専業キャストとして勤務する彼はまだ23歳、ここでも非正規雇用のアルバイトである。ブラック企業に勤めた彼にはディズニーランドは“夢の国”に映ったのかもしれない。

「で、そことくらべて、こっちはどう?」

 冗談めかして聞いてみた。

「うーん、仕事ですからね。やっぱりいいことばっかりじゃないですよ。でも、ココじゃ、倉庫で延々と品出ししたり、変な客にクレームつけられたりしませんから、まだマシじゃないですか」

ゲストの知っている“夢の国”は、キャストにとっても“夢の国”であるとは限らない。写真はイメージ ©getty

 “夢の国”で働くのは楽しいし、ゲストにハピネスを提供することは働きがいがあって素晴らしい。しかし、一方で非正規雇用のアルバイトのため、不安定な立場であり、低収入ゆえ、計画的な将来像を描くことは難しい。実際のところ、同僚の30代以上の男性キャストで既婚者の割合は世の中の平均よりも少ないように感じた。ゲストの知っている“夢の国”は、キャストにとっても“夢の国”であるとは限らない。キャストもまたひとりひとり自分の現実を生きているのだ。

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