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高架のホームで待ち構えていた「5両編成の小さな車両」

 そういうわけで、日暮里駅から日暮里・舎人ライナーに乗った。高架のホームで待ち構えていたのは5両編成の小さな車両。中もそれほど広くなく、全体的にこぢんまりとしている印象だ。高い混雑率の原因は、このあたりにもあるのだろう。平日の真っ昼間というのに、発車する頃には立っているお客もちらほらいるくらいには混み合っている。

 運転士がいない小さな電車が、ゆっくりと日暮里駅を出発する。しばらくは山手線に沿って走り、西日暮里駅を過ぎたところから進路を北に。ここから先は、ほとんどまっすぐ北上してゆく。熊野前駅を出ると、隅田川と荒川を続けて渡って荒川区から足立区へ。車窓の右手後方には、天高く聳える東京スカイツリーがよく見える。

 そして、高架の上から見下ろす沿線風景は、ほぼ完全なる住宅地である。商業施設の類いや駅名にもなっている舎人公園といった公園、緑地の類いも見えるけれど、だいたいは住宅密集地。マンションから戸建ての家まで、たくさんの住宅がひしめいている。

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 そんな住宅地を見下ろしながら、日暮里・舎人ライナーはまっすぐに北に向かって走ってゆく。この見渡すばかりの住宅地で暮らしている人たちが、朝になると日暮里・舎人ライナーで都心に向かう。それが混雑率日本一のいちばんの理由なのだろう。

 混雑率の話ばかりをしていると、悪口を言うなと怒られそうだ。だが、日暮里・舎人ライナーが走っている沿線は、もともと鉄道がまったく走っていなかった空白地帯。だから、住民たちはバスで京浜東北線か東武スカイツリーラインの駅まで行き、乗り継いで都心に向かっていた。

 それが2008年に日暮里・舎人ライナーが開業したおかげで、だいぶ楽になったという。少しくらい混んでいたって、電車がないよりはあるほうがよほどマシ。少なくとも、日暮里・舎人ライナーは沿線の人々にとってはなくてはならない交通機関なのである。