文春オンライン

年収2000万円超で東京メトロに「再就職」できる…東京都庁が手放さない「幹部の天下り利権」の知られざる実態

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会, 政治

note

なお多摩都市モノレール株式会社も、株の80%ほどを東京都が所有している。奥山宏二社長は元下水道局長だ。同社の「2022年度 人件費等の状況について」によると、常勤の役員報酬は1人平均1201万円に上る。

「都庁ホールディングス」と呼ばれる理由

JRや東京メトロなど既存の鉄道会社が新しい路線を作れば、鉄道運賃は「一社一運賃」が原則なので、初乗り運賃加算はないし、距離別運賃も同じだ。新路線開設のための資本費回収促進のための「加算運賃」は認められているが、それほど高額にはならない。しかし全くの別会社となればそうはいかない。そのコストは利用者、都民が負担することになる。天下り先確保の意向が新たな鉄道会社設立の動機になっていないかという問題だ。

猪瀬直樹知事(在任2012~2013年)のときに東京メトロと都営地下鉄の統合が目指された。「バカの壁」で話題になった九段下駅の乗り換え改善策は講じられたが、統合は実現しなかった。現在両社線の乗り継ぎでは70円の割引はある。

ADVERTISEMENT

東京都は巨大な自治体であり、政策を遂行するためには都庁だけでは難しい。澤氏が「都庁ホールディングス」と呼ぶ理由はここにある。政策連携団体や事業協力団体が担う意味はないわけでないが、本当に必要なものかどうかは状況に応じて精査するべきではないか。単なる天下り先のポスト、既得権と言われても仕方ない現状があるように感じる。

「再々就職先」は公表の対象外

民間企業への再就職は天下りとして問題はないのであろうか。

東京民報2023年11月26日号は、「三井不動産 東京都幹部9人が天下り 外苑再開発 強行姿勢の陰で」の見出しで、東京都が推進する神宮外苑再開発計画(新宿区・港区)の事業施行者、三井不動産グループ2社が都退職幹部の天下りを9人も受け入れ、事業を所管する都市整備局と深い関係にあることが明らかになったと報じた。

記事のなかで、全国市民オンブズマン連絡会議幹事の清水勉弁護士は、「都とのパイプ役にOBを使い、都政をコントロールし影響を与えようとしてきた癒着関係の疑念が生じてもおかしくない」と指摘している。