文春オンライン

年収2000万円超で東京メトロに「再就職」できる…東京都庁が手放さない「幹部の天下り利権」の知られざる実態

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会, 政治

note

東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に注目が集まっている。元日本女子大学教授の細川幸一さんは「都庁幹部の天下り問題は改革が不十分のまま放置され、年収1000万円を超えるポストが数多く存在している。都知事選挙の争点にすべき重大問題ではないか」という――。

写真=iStock.com/PhotoNetwork ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PhotoNetwork

キャリア官僚の「天下り」よりも露骨

「天下り」といえば霞が関のキャリア官僚たちを想定しがちだが、地方自治体の幹部職員たちの例も数多くある。自治体幹部の天下りは、住民の関心が薄く、監視役である議会のチェックが十分機能しておらず、官僚の天下りよりも多くの問題を抱えているとの声もある。

東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に注目が集まる東京都庁もその例外ではない。

ADVERTISEMENT

都知事選は自治体選挙と比べても注目度は高いが、従来から政策よりも知名度がモノを言い、芸能人などの著名人が知事のポストを得る傾向がある。政策論争の気配があまり感じられないのは残念だが、天下りの問題は、都知事選の争点にするべき重大なテーマだと考えている。

筆者は天下りについて新知事がどう考えるか注目している。なぜなら都民の気づかないところで天下り団体やポストが数多く用意され、都民の生活に影響を与えている恐れがあるからだ。

例をあげよう。コロナ禍が明け、円安も相まって東京でも外国人観光客があふれている。東京の観光ツアーとして有名なのが昔から「はとバス」だ。利用したことがある人も多いだろう。

意外に思う人も多いと思うが、株式会社はとバスも都庁幹部の天下り先なのだ。現在の武市玲子社長は元東京都交通局長だ。武市氏の社長就任時、はとバスでは5代連続で都幹部が社長になったことが報じられ、問題視された。はとバスは東京都が株の38%ほどを所有している東京都の「事業協力団体」(後述)なのだ。

東京メトロの幹部ポストは副知事経験者の指定席

さらに身近なところにも天下りポストが存在している。都内の地下鉄を運営する東京メトロだ。