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年収2000万円超で東京メトロに「再就職」できる…東京都庁が手放さない「幹部の天下り利権」の知られざる実態

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genre : ニュース, 社会, 政治

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また清水氏が指摘するように、都は幹部退職者の氏名を公表しているが、その後民間企業に渡った元幹部は公表の対象になっていない。「幹部退職者の再就職先公表制度は骨抜きになる。再々就職先もその後の就職先もことごとく公表すべきだ」という指摘はその通りだ。

官民の癒着、税金の無駄遣いの恐れ

冒頭で、許認可権限をちらつかせた天下りが横行すれば、利益誘導など官民の癒着につながると述べたが、東京都はその予算規模から、民間企業からみれば、大口の発注元でもある。

天下りを受け入れることで、民間企業側には受注で優位な立場になろうとする意図が生まれる。それによって競争が阻害され、無駄な税金を使うことにもなりかねない。

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天下りは都民の生活に密接な問題となっている。先述の通り都庁でも過去に改善策が講じられているが、十分とは言えない。4年に一度の都知事選が近い。都民の皆さんがこの問題に関心を持ち、活発な政策論争が行われることを期待したい。

細川 幸一(ほそかわ・こういち)
日本女子大学家政学部 元教授
独立行政法人国民生活センター調査室長補佐、米国ワイオミング州立大学ロースクール客員研究員等を経て、日本女子大学教授。一橋大学法学博士。消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。専門:消費者政策・消費者法・消費者教育。2024年3月に同大を退職。著書に『新版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』『大学生が知っておきたい消費生活と法律【第2版】』(いずれも慶應義塾大学出版会)などがある。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線を嗜む。
年収2000万円超で東京メトロに「再就職」できる…東京都庁が手放さない「幹部の天下り利権」の知られざる実態

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