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 朝堂院大覚氏とは、小池氏の父と親しかった実業家である。朝堂院氏は6月11日に会見を開き、小池氏のカイロ大学卒業という学歴について「2年の期末試験を受けてます。ただ、点数を取れなかったから落第。それは事実。中退と言えば本当なんです」などと話していた。これを小池氏に尋ねた質問をさえぎり、助け舟を出すかのように「勝負服」質問をした記者の言動にSNSで批判が続出したのだ。

小池氏の“勝負服”はグリーン ©文藝春秋

学歴詐称疑惑には触れず

 調べてみると、

『公約は“後出しじゃんけん”小池氏と蓮舫氏 首都決戦の行方は? 専門家に聞く』というテレビ朝日の番組記事(6月13日)で、

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《この日は勝負カラーの緑ではなく、青のジャケットに青のネックレスで臨みました。》

 と書かれていた。どうやら本気で取材の成果だと思っていたらしい。記事では学歴詐称疑惑の質問には触れていない。

 この件にはもう一つ注目点がある。勝負服の質問をした記者は都庁記者クラブの仕切り役だったらしいこと。都知事の定例記者会見は都庁記者クラブ主催で毎週金曜日に開催されているが、現在はフリーランスなどクラブに非加盟の記者はオンラインでしか参加できないこと。なので今回の囲み会見が余計に「目立った」のだ。

フリーの記者への冷遇ぶり

 フリーの記者を邪険に扱うような構図は「産経ニュース」(6月10日)を読むと面白い。

《東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に出馬表明した立憲民主党の蓮舫参院議員を巡る記者団のぶら下がり取材で、フリーランス記者を含めて質問が活発に飛び交っている。》

 フリーの記者も活発に質問できるならそれでよいのでは? と思うのだが、どうやらそうではないらしい。

《フリーの記者の質問は3選出馬が有力視される小池百合子都知事の「失政」に関する見解を聞くケースが多く、現状は蓮舫氏の背中を押すような質問が目立っている。》

 小池氏は8年間都政をおこなってきた。その人物が3選を狙うというなら検証報道は多いほど都民の投票判断の材料になるはず。それが「王者」への接し方でもある。しかしこの記事では「小池百合子都知事の『失政』に関する見解を聞くケースが多く」という書き方になっている。失政を検証するのはダメなのだろうか。