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幹事社のしきたりとは?

 注目は、あきらかにフリーの記者に不快感をあらわしている部分だ。「フリージャーナリストの質問に戸惑った民放記者もいた」として、

《民放記者は幹事社として1問目の質問を終え、2問目を言いかけた途中で、差し込まれた形となったからだ。ぶら下がり取材にはルールはないものの、取材を効率化する観点から、一般に幹事社が冒頭、基本的な事項を尋ねた後、各社各人の質問に移っていく。》

 幹事社などのしきたりを説明しているが、こういうのを読むと質問そのものより秩序が大事ということがわかる。勝負服の質問をした記者の言動と併せて読むと味わい深い。

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 念のために書いておくと、私はフリー記者の質問ならすべて良いとは思っていない。新聞記者の質問にも「?」と思うものがあるのと同じだ。ただ選挙取材では多様な質問が出るほど有権者の参考になるはず。

 それでなくても小池氏には「答弁拒否」に関する話題が多かった。

©文藝春秋

本当に質問すべきこと

『小池都知事が答弁拒否、議員発言取り消しの“横暴”「今の東京都議会はあまりにもおかしい」』(東スポWEB 3月29日)

 答弁拒否の見解を巡っては都議会で議論になったが、小池氏が答えない場合が多いなら記者がどんどん質問していくしかない。

 小池氏の学歴詐称疑惑もゴシップ扱いにしていてよいのだろうか。大学卒業を認めるカイロ大学長名の2020年の声明文を巡り、小池氏の元側近の小島敏郎氏が、声明文は知事側で作成した可能性があると告発した(文藝春秋5月号)。この告発に対して小池氏は現在も説明していない。

「カイロ大声明」によって再選を果たした小池氏は「二期目に入るやエジプト関連予算を一気に増額させている」(週刊文春4月25日号)とも指摘されている。税金の使い方は東京都民に直接関わってくる。なので記者の皆さんには質問をどんどんしてほしい。民主主義の基本だ。勝負服の質問などしている場合ではない。