自分の生活を充実させることがお仕事にも直結する
――お母さまになってから、お仕事への熱量や向き合い方は変わりましたか。
新井 今は自分の中で一番大事なものが家族、子どもですけれど、むしろお仕事はお仕事でより大事に感じるようになって、自分の外側に出たような感じ。自分の中に入っているズブズブの関係から、目の前のお皿に入ったというか。今は母になって新たなステージに進んでも変わらず働かせてもらっている環境や人、「待ってたよ」と応援して下さる声とか。そうしたありがたみをより感じられるようになって、ますます頑張ろうと思えるし、お仕事がさらに大切な存在になった感じはしますね。それから見識を広げるために、いろいろなものを自分の目で見て体験して学ぼうと動いています。番組で知ったところに行ってみたり、気になっていたスポットに行ってみたり。美術館に行くことも多いですね。
あと、自分の生活を充実させることがお仕事にも直結するかなと思っています。最近家庭菜園もはじめましたが、くらしを豊かにすることで、すぐにお仕事に結びつかなくても、どこかでポロッと発信できたり、滲みでたりするんじゃないかと思うんです。カチカチになっていた土を掘り起こして用土を加えたみたいな、見た目にはわからないけど、中の栄養素が充実していくようなことも少しずつ出来ているような気がします。
世の中のために自分は何ができるのか、模索していきたい
――お仕事で力を入れたいジャンルなどはありますか?
新井 今、まさにそれを考えているところなんですが、これまでも自分がこうなりたいっていうものがないんですよね。そのとき一番幸せな形を思い描いて、勉強したりチャレンジしたりしながら進んでいきましたが、また1に戻った気がしています。
あと、ジャンルも特に選ばなくてもいいかなと思っていて。フリーアナウンサーもそうですが、お仕事を選択する上でもカテゴライズしがちだと思うんですね。あのお仕事はこう、このお仕事はこうだって枠にはめがちな気がしますね。
以前はフリーアナウンサーの仕事ってなんだろうと悩むときもありましたが、逆にカテゴライズがないからこそ、色々なことができると思ってやってきました。これからもどんどん変化していきますし、これまでの自分とは違うけど、代わりに新しいことができるようになっていくはず。
今は、私は母になりたてなので、母親業を一番頑張らなきゃいけないと思っています。その上で、世の中のために自分は何ができるのか。模索しながらその中の一つが絵本かもしれないし、教育番組のMCかもしれないし、全然関係ないことかもしれないですけど、そこは自分の意志が働かないところなのかと思います。
どんなお仕事も楽しいし、全てのお仕事の面白みがあると思っているので、このスタイルは変わらないのかなと思っています。
撮影 三宅史郎/文藝春秋
スタイリング 青柳裕美
ヘアメイク かんだゆうこ
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。