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親会社NTTに左右されるドコモ歴代社長人事の舞台裏《初の転職組・前田新社長が就任》

丸の内コンフィデンシャル特別編

2024/06/21

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ビジネス, 社会, 政治, 経済, 企業, テクノロジー, マネー

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社長交代は通例4年周期

 1992年7月1日、NTTの移動通信部門が分社化した、NTT移動通信網(現・NTTドコモ)が営業を開始。1999年には、世界初の携帯電話でのインターネット接続サービス「iモード」を発表した。これが爆発的ヒットとなり、市場での価値は一気に高まった。2013年から現在の商号となる。国内の携帯電話契約数は約8990万で、国内市場における市場占有率は約42%。ともに1位を誇っている(2024年3月発表)。

「営業収益は約6兆1千億円。2024年3月期決算では、営業収益、営業利益、純利益とも過去最高。携帯電話事業を含むコンシューマー通信の営業利益はほぼ横ばい。前田氏が率いるスマートライフ事業は、金融決済とマーケティングソリューションが好調で、増収・営業増益となりました」(通信担当記者)

 ドコモは初代の大星公二氏、2代目の立川敬二氏がともに6年、社長を務めた。その後、中村維夫氏(3代目)、山田隆持氏(4代目)、加藤薫氏(5代目)と4年周期で社長が交替してきた。全員とも親会社のNTTから送り込まれてきた人材だ。

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 ドコモの立ち上げから関わった実質的なプロパーから社長となったのが、6代目の吉澤和弘氏である。

実質的な「ドコモプロパー社長」となった吉澤氏 ©時事通信社

 吉澤氏は岩手大学工学部情報工学科で電気システム工学を学んだ後、NTTに入社。ドコモの設立前年から準備室に配属され、1992年の設立とともに移籍した。人材育成部担当部長や経営企画部担当部長などを経て、2011年に取締役に。2014年から副社長を務めていた。

「前任の加藤さんとは携帯電話の黎明期にショルダーホンを一緒に担当した仲。社長就任会見で、加藤さんは吉澤さんを『非常に実直・誠実な、青年を思わせるところがあるぐらい若々しい人』と褒めていた」(ドコモ関係者)