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好き放題に学園生活を送る生徒たち
西大和学園高等学校の記念すべき1期生は、どこにでもある中堅クラスの私立高校同様、学力的にもごく普通で、どこかのんびりした子も多かったのです。
入学したのは男子186名、女子32名の計218名。
いくら幅を利かせても先輩にガツンとやられることはありませんから、彼らは自由気ままに、好き放題に学園生活を送り始めました。
「授業に飽きた」といって、勝手に教室から出てしまう子もいれば、「気が向かない」といって学校にすら出てこない子もいる。外へ出ればケンカや迷惑行為は当たり前。教員が駆り出されない日はないというほどでした。
現代の子どもたちは、昨日まで優等生だった子やおとなしく目立たなかった子がいきなり世間を震撼させるような凶行に走るという事例も多いですが、1980年代の子どもたちは不満や悩みのはけ口を、今よりもっとストレートに大人や学校へぶつけていた気がします。ヤンキーやツッパリを気取る生徒も多く、西大和学園でも窓ガラスやげた箱のドアを修理する業者が絶えず出入りしていました。
「理事長、あの子らが落ちつきがないのは、なにも本人たちのせいだけやないと思います」
開校からほどなく、私は教員たちからこんな報告を受けました。
彼らいわく
「放課後の校内は今、とんでもないことになっているのです」