「なぜ人は争わねばならないのか」――。
 直木賞作家、今村翔吾待望の新作『海を破る者』が発売された。
 鎌倉時代。元寇という国難に立ち向かった御家人、河野六郎通有(通称:六郎)は、その問いを読者に投げかける。

 今回のインタビューでは、創作秘話はもちろん、「出版業界に変革を起こしたい」という今村翔吾さんの熱い想いを聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)

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家族のことで苦しんだ16歳の今村翔吾

――実の父親と不仲だった六郎。今村さんご自身も、家族との摩擦があったそうですが……。

 作家って因果なもんで、そういう事ですらネタにしてしまうというか、経験にしてしまう。

 確かに、六郎の家みたいな感じでした。鎌倉時代じゃないから武器取って何かしたりってわけじゃないけど(笑)。僕は若い時、自分の家族のことで苦しんだから、六郎の気持ちは分かるかな。16~17歳の僕は、六郎を見たら「そうそうそう」と言ってると思います(笑)

2019年12月、長崎県松浦市の鷹島にて©文藝春秋