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《アイルトン・セナ没後30年》「足は誰よりも遅かった」「超人的な姿は浮かばない」中嶋悟、木内健雄、古舘伊知郎が語る“意外な真実”

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アイルトン・セナが没後30年を迎えた。セナのチームメイトだった元F1ドライバーの中嶋悟氏、ホンダのエンジニアとしてセナを担当した木内健雄氏、F1実況中継で人気を博したアナウンサーの古舘伊知郎氏が語り合った。

アイルトン・セナ ©Sipa USA時事通信フォト

◆◆◆

 古舘 お久しぶりです。おふたりともお元気そうで、懐かしいなあ。中嶋さんはレーシングチームを作って、今もレースを続けているんですよね?

 中嶋 そう。チームの監督として、今もサーキットにいる。サーキットの音を聞いてるだけで楽しいよ。木内さんは今もホンダにいるの?

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 木内 いえ、ホンダは7年前に定年退職しました。今は電子計測器の専門商社でEVや自動運転技術の開発に関わっています。

木内氏 ©文藝春秋

 中嶋 古舘さんは真面目な仕事をしているよね。まさかあの古舘さんが報道番組のキャスターになるとは思わなかったよ。

 古舘 自分でもびっくりです(笑)。色々なことが大きく変わりましたよね。セナが亡くなってから、もう30年になるんですか……。

 〈アイルトン・セナ。世界のF1ブームを牽引した伝説のドライバーの死から、今年で30年が経った。1984年からF1に参戦し、41度の優勝、3度のワールドチャンピオンに輝いた。日本でも「音速の貴公子」の愛称で親しまれ社会現象となったが、94年5月1日、イタリアのイモラサーキットで首位を走行中、コンクリートバリアに高速で衝突し、34歳の若さで命を落とした。

 しかしその人気は死後も変わらず、母国ブラジルでは、「ブラジルで最も偉大なスポーツ選手」にサッカーのペレを押さえて選ばれた。さらに、ネットフリックスでは、彼の半生を描いたドラマが年内に配信予定だという。〉

 中嶋 30年も経つのに、セナに関するインタビューは毎年のように受けてる気がする。何回特集するんだって思うけど、それだけ、彼の人気を実感するよね。

 古舘 中嶋さんはロータス・ホンダでセナのチームメイトですからね。木内さんも、ホンダのエンジニアとしてセナの担当をされていました。ホンダを離れた今もセナについて語る機会は多いですか。

 木内 そうですね。インタビューはこれまでも受けてきましたけど、彼を思い出す時、僕はファンが思うようなかっこいい姿や超人的な姿は浮かばないんですよ。

 古舘 そうなんですか?

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