アイルトン・セナが没後30年を迎えた。セナのチームメイトだった元F1ドライバーの中嶋悟氏、ホンダのエンジニアとしてセナを担当した木内健雄氏、F1実況中継で人気を博したアナウンサーの古舘伊知郎氏が語り合った。
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木内 イタリアで「入国拒否」される珍事がありましたよ。僕らは移動の時は紺のジャケットにホンダのピンバッジを付けているから、ホンダの人間だって分かっちゃう。入国審査官みたいな人が「おまえらは入れない。おまえらは帰れ。おまえらが来るとフェラーリが勝てない」って言うんですよ(笑)。
古舘 えー!
木内 もちろん最終的には入国できましたけど、「ホンダが来なくても勝てないだろ!」って、少しムカつきましたね。
古舘 僕もモナコのレストランで食事をしている時に「ジャパンマネー・ウェルカム! ホンダ・ドボン!」と言われたことがありました。当時、日本はバブルでF1に多額の広告費を出していたから、そのお金は欲しいけどホンダは「ダメだ」ってこと。今では差別だと問題になるようなことを普通に言われる時代でした。
中嶋 そんな時代だったから、セナは「ヨーロッパの奴らには負けられない」って気持ちが心の奥にあったと思うよ。僕も日本人初のF1フルタイムドライバーとして、その気持ちは痛いほどよく分かるもん。
木内 そういう気持ちが彼のモチベーションになっていたことはたしかですね。
恋人のパンにバターを塗る
古舘 おふたりはチームメイトとして、素顔のセナをご存知なんですよね。素(す)のセナはどういう人柄だったんでしょうか。