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小池氏に聞きたいこと

 直接聞いてみたいこともある。小池氏は政策の中で「首都防衛」「ダイバーシティ」を訴えているが、それは「関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送らない」ことと矛盾すると思うからだ。朝鮮人犠牲者は地震で亡くなったわけではない。デマによって起きた虐殺で亡くなった。だから式典に追悼文を送るのだが小池都知事は7年前からやめている。小池氏は朝鮮人虐殺に「諸説ある」というがそんな学説はない。

 歴史を見ようとしない都知事がもし震災に直面したら……。デマやヘイトスピーチ対策はどうなる? 追悼文を送らない姿勢はダイバーシティ(多様性)にも矛盾する。このほか小池氏の街頭演説は8年前の熱が今もあるのか見てみたい。いろいろ知りたいことがあるので、告示日の第一声が待ち遠しかった。

ここまでやるかと思った“戦法”

 ところが告示前日にもたらされた情報は衝撃的だった。「明日の小池氏の第一声は10時半からビルの一室でおこなう出陣式のみ。公務を理由に街頭演説はナシ」。現場で知り合った記者が教えてくれた。3期目をやりたいという人が街頭に出てこない!? 一方で出陣式へのメディアの参加は先着順という。もしかしたら我々も入れるかもしれない(過去の選挙取材は2本の映画になっているので)。

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 というわけで6月20日(木)朝9時すぎ。我々は西新宿のビルに向かった。幸運にも入ることができた。室内は狭い。取材陣は約30名いて、ギュウギュウ詰めでびっしり。対照的に支援者用のイス席はまだ誰も座っていない。どんな人たちがくるのだろう。

 

 すると出陣式スタート直前、スタッフに誘導されて赤ちゃんを抱っこした母親たちが入場してきた。スタッフの手元を見ると、名前の書いたリストがあったので出席者は決まっていたのだろう。小池氏の子育て政策に賛同する母親たちが集結という「画」を強調したかったに違いない。ここまでやるかと思ったがこれが、選挙戦なのかもしれない。

 小池氏の演説が始まると密室で異様な雰囲気を察知したのか、泣き出す赤ちゃんもいた。しかし夜のニュース番組を見ると“赤ちゃんをあやしながら演説する小池氏”という見事な「画」になっていた。