完成間近のマンション解体は前代未聞

「積水ハウスといえば今度ネトフリでドラマ化もされる地面師事件が思い浮かぶ。もしかしてあのマンションも何か関係あるのでは?」

「着工してから大規模な反対運動があったわけでもないし、法令違反や構造上の問題がないのにこの段階で解体するなんて闇が深すぎる」

撮影=プレジデントオンライン編集部 JR国立駅 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

東京・国立市にある積水ハウスの「グランドメゾン国立富士見通り」(10階建て、総戸数18戸)の解体問題をめぐり、ネットやSNSでさまざま憶測が飛び交っている。

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これは無理もない。法令もクリアし、高さを当初計画よりも低くするなど近隣住民との調整も終えて着工、7月には完成にこぎつけて、入居者も決まっていた新築マンションをデベロッパー側がいきなり「やっぱやめます」と言い出すなど前代未聞だ。しかも、耳を疑うのは、その理由だ。

「富士見通りからの眺望を優先する」

《完成が近づき、建物の富士山に対する影響が現実的になり建物が実際の富士見通りからの富士山の眺望に与える影響を再認識し、改めて本社各部門を交えた広範囲な協議を行いました。その結果、現況は景観に著しい影響があると言わざるを得ず、富士見通りからの眺望を優先するという判断に至り、本事業の中止を自主的に決定いたしました》(積水ハウス プレスリリース 6月11日)

町の不動産屋ならいざ知らず、積水ハウスほどの大手デベロッパーならば通常、建設計画が立ち上がった段階でさまざまな方面から検討が進められる。景観のシミュレーションもしていたはずだ。それが今になって「実際に建ててみたら富士山隠れることがわかりました」なんてトボけたことを言われても、納得をする人は少ないはずだ。

では、なぜ積水ハウスはこんな奇妙な言い訳をひねり出したのか。ネットやSNSで囁かれているような「闇」がないと仮定して企業危機管理の観点で考えると、あらためてリスク評価をしたところ「景観闘争」に巻き込まれて不動産価値が暴落する可能性が高くなってきたので、今壊してしまったほうが「まだ傷が浅い」と判断したのではないかと思っている。