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タワマンではなく農地を買うという選択…“食料確保”を真剣に考えたほうがいいこれだけの理由

2024/05/28
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 マンションの高騰が続く中、マンションを購入しようかどうか悩む人が増えている。東京都区部の新築マンションの平均価格は1億1483万円となり、かつては高級マンションの称号ともいわれた「億ション」はごく普通のマンションに格下げ。新たに「2億ション」「3億ション」でなければ高級とは呼ばれなくなっているのが実情だ。

東京・勝どき ©kawamura_lucy/イメージマート

 こんなマンション価格に必死に食らいつくのが、パワーカップルだ。パワーカップルとは夫婦とも大手企業などで働き、世帯年収が1500万円程度以上になる夫婦を指す。かつての標準家族は、夫が働き、妻は専業主婦、子供は2人。この家族形態ではたとえ夫が上場大企業に勤務していたとしてもその年収には限りがあり、おいそれと億ションに手を出すなどということは不可能だった。

 ところが現代の家庭は夫婦とも働く2気筒エンジンを搭載した出力の高い世帯だ。たとえば世帯年収で1500万円ある夫婦が、ペアローンでマンションを購入しようとすると、金融機関はあっさりと1億円程度のローンを組んでくれる。

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 期間35年、金利2%で、年間のローン返済額を一般的に上限額と言われる年収の25%に設定すれば、総額で9433万円を貸し出しできるからだ。実際には金融機関で用意する様々なサービスを利用することで変動金利であればその水準はもっと低くなり0%台前半のものまである。1億円を借りるなんて簡単なのだ。

ローン返済の35年間に想定される“様々なリスク”

 ただローンを出してくれることと、この先返済を恙なく行えることとは関係がない。金融機関はパワーカップルのその後に続くはずの順風満帆の人生を想像しているだけで、保証しているわけではないからだ。

 では35年の間で想定できる様々なリスクを考えてみよう。金利は当分上がらないなどと言われるが、金利を思うがまま制御できた政府や中央銀行など世界に存在しない。金利は制御不能な暴れ馬になることがある恐ろしい存在だ。夫婦相睦まじくという前提も意外と脆いものだ。夫婦が不和となって離婚に至った場合、ペアローンで相互に連帯保証人になっていれば、互いに相手のローン返済を負えるほどの余力がない限り、物件を売却して返済せざるを得なくなる。自分たちが勤めている大企業が未来永劫繁栄し続けるなどというのもお花畑な発想だ。