タワマンではなく農地を買うという選択
国民がこれからできることといえば自己防衛するしかない。農林水産省の調べによれば現在、国内では耕作放棄された農地が42万3000ha存在する。農家は事業を承継する者が少なく、農業従事者の数は減少の一途。2020年には136万3000人、15年前の2005年の224万1000人と比べて39%もの減少となっている。
ならばタワマンを買うのではなく、そのお金で農地を買い、農業をやってみたい若者に貸し付け、収穫の一部を納めてもらったらどうだろう。自分は都会で働き、毎日の食事は自分が貸し付けている農地を耕してくれる人(これは「小作人」と呼ばれるのかもしれないが)から届けてもらえば、食費が浮くばかりか、何らかのインシデントが発生した時にも生き延びられる、そう発想するのも自然だろう。
ところが、これまで農業とは無縁だった個人が農地を買うことにはとても高いハードルがある。農地を勝手に買うことは農地法で制限されているのである。
農地を買おうとする場合には、地元の農業委員会に申請書を提出して許可を得なければならない。許可を得るためにはいくつかの条件がある。
農地を買うための条件とは
(1)取得する農地のすべてを効率的に利用すること
機械や労働力等を適切に利用するための営農計画書の提出が必要
(2)必要な農作業に年間150日以上従事すること
(3)周辺の農地利用に支障を及ぼさないこと
周辺の水利調整や無農薬栽培などに迷惑をかけないこと
これらのほかにも農地面積の最低面積を決めており、広い農地を買わなければ認められない構造になっている。つまり農業を支援、継続するには農作業もまともにできないような生中な国民のお金なぞ必要ないというのが、現在の農地法の考え方なのだ。
日本の首都東京の、しかも投資マネーに踊らされたエリアに「高すぎるマンション」ばかりが建設され、それに人生において得られるであろうすべての給与債権を賭して、あとはひたすら世の中が大きく変化しないことを前提に生きていかなければならないような無謀な決断を多くの国民に強いるのではなく、皆が普通に毎日の食事にありつける農地の民主化が、これからの日本には必要なのである。
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