「あなたの推しが昨日と違うなと思っても」
――今日もどこかで起きているであろう「喰われる」現象について、ファンとVTuber自身に気をつけてほしいことはありますか?
林檎 VTuberファンの皆様にお願いするとすれば、VTuberというのは変わりゆく存在というのを忘れないでほしいな。なにせ生きてるからな。昨日と今日で言ってることが少し違うかもしれないし、天然だった子がいつのまにかしっかり者になっていることもあるものだ。
だからあなたの推しが昨日と違うなと思っても「過去のままでいて」とはなるべく言わないであげてほしい。ぜひ推しの変化を愛して欲しいと思っている。
――変化を愛する。
林檎 とはいえ変化を愛するのは難しい。好きになったのには理由があるわけだから、それが変わってしまえば気持ちが変わることも仕方ない部分がある。だから推しの変化を愛すのが難しいなと思った時は「昨日のままでいて欲しい」と言うのではなくて、自分が好きになった推しはもういないことを理解して、自分が好きになった人は心に大切にしまったうえで、そっと離れる選択肢を取って欲しいのだ。
――ファンが離れても仕方がない?
林檎 寂しいことではあるが、仕方ないことでもあると我は思う。これを寂しいからと双方が無理をして一緒にいると、根本的な解決ではないのでお互いに苦しくなるばかりだ。特に最近は「推し活」という言葉もできたのでファンから降りるのが難しくなっている。グッズをたくさん身に着けて周囲に「この人を一生愛する」と宣言してしまって引っ込みがつかなくなっている人もいると思う。それでも、推しが変化することに苦しさ、つらさが募ってしまったら、自分と推しの心の健康のためにそっと離れて欲しいんだ。
「これは朗報なんだが、例え無期限活動休止をしても…」
――VTuber側にはどんな対処法があるのでしょう。
林檎 VTuberの皆様におかれましても、自分を大切にしてほしいというのが切なる願いだ。ストレスというのは少ないに越したことはない。人間もVTuberも追い詰めすぎると壊れるものだ。最近は毎日配信をするという方も増えているが、これはやはり心を安めて諸問題を冷静に考える時間がなくなり、泥沼に陥りやすくなる面もあるので、もし長期的に活動したいと思うなら週に1回お休みを決めるとか、自分自身を取り戻す時間を作るのがいいと思う。
――「休んだらファンが離れてしまう」という恐怖を感じている方も多そうです。
林檎 実際そうだろうな。我とて忘れられるのは怖い。そして活動を休止すればある程度ファンが離れるのも残念ながら否定できない事実だ。しかしこれは朗報なんだが、例え無期限活動休止をしても待っててくれる人は必ずいるものだ。初期VTuber業界のレジェンドである「ぜったい天使くるみ」氏が実質的な引退から4年を経て復活した時は多くのファンが狂喜乱舞していたし、久しぶりに声を聴いて我も泣きそうに嬉しかった。待ってくれる人はいるものだ、だからとにかく自分の健康を優先してほしい。我からもひとつよろしく頼む。