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人気絶頂のVTuberを突然の活動休止に追い込む「喰われ」現象とは 活動歴5年の九条林檎が解説する2つの“高リスク要素”「人間もVTuberも追い詰めすぎると壊れるものだ」

人気絶頂のVTuberを突然の活動休止に追い込む「喰われ」現象とは 活動歴5年の九条林檎が解説する2つの“高リスク要素”「人間もVTuberも追い詰めすぎると壊れるものだ」

2024/07/06
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林檎 厳密にはほぼロールプレイをしないタイプ、我は非ロールプレイ型と呼んでいるんだが「会社の同僚やクラスの同級生の面白い子」のような距離感でしゃべる方が多いな。近年デビューしているVTuberは圧倒的にこちらが多数派だ。ややこしいのは、友達のようないわゆる「素っぽい喋り方」で話していても、それがごりごりのロールプレイなこともあるんだ。だからロールプレイ型、非型と分けるのが丁度良いな。

「『林檎ちゃんかわいいね』なんというコメントは年に1回あるかないか」

――林檎さん自身はどちらにカテゴライズされることが多いのでしょう?

林檎 客観的に見ればロールプレイ型に入るだろう。なにせ我は見ての通りこのような感じだ、はっはっは。「林檎ちゃんかわいいね」なんという不敬なるコメントは年に1回あるかないか、という非ロールプレイ型にはほぼ見られない状況。我の威厳とそれを尊重してくれるファンらのなせる業だな、ううむ誇らしい。

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――林檎さんがファンに「我は貴様らの友達ではないぞ」と明言していた時はすごいことを言うなと思いました。

林檎 真実そうであるだろう? なので我としては驚かれるたび不思議な心持ちでいる。やはり有名人を親密に感じてしまう方が多いことの証左だな。Vtuberとしてデビューする少し前に我が見ていたコンテンツ内で、距離感のバグったファンがいてな。見ているこちらが怖くなるようなリプライを活動者に送り続けていた。それを見ていたので、ファンとともに健やかに長く活動するためにもきちんと距離感や立ち位置を明言しておこうと思ったんだ。

 

  我は皆の友達ではないし、物理的にそばにいられるわけでもない。それでも皆の健やかな生活を願っているし、そのために我にできることがあるならばできるだけやりたいと、嘘偽りなく心から思っている。その為にがんばっていくからよろしく頼む、とそう伝えたわけだ。

「喰われた」後に復活する2つのルート

――視聴者との関係性に最初から意識的だったのですね。とはいえほとんどのVTuberは活動を始めるまでそのリスクは気づいていないと思うのですが、「喰われ」てしまった場合、そこから復活する方法はあるのでしょうか。

林檎 「喰われた」後に復活するVTuberは、大きく分けて2つのルートがあると思う。1つはオンオフを完全に切り替えて、配信上のキャラクターを自身から切り離すルート。もう1つは、配信上のキャラクターと普段の自分が完全に溶けあってしまうルートだ。

――それはキャラクターに人格を乗っ取られているのとは違う?

林檎 似て非なるものだと思っている。むしろ配信上のキャラクターに普段の自分が染み出してきて、裏表が無くなって無理なく活動できるようになるイメージではないだろうか。