6月26日、27日に行った東京ドーム公演で、9万人を熱狂させた5人組ガールズグループのNewJeans。デビューから1年11か月という、海外アーティストによる東京ドーム公演実施の最速記録を打ち立てた。日本でこれだけの熱狂を巻き起こしている理由とは、一体何なのか。韓国の大衆音楽評論家ファン・ソノプ氏が読み解く。
5人のメンバーが他のガールズグループとは一線を画す存在であるワケ、そして、「NewJeans」というグループ名が意味するものとは?(全2回の後編/はじめから読む)
翻訳=金敬哲
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NewJeansのすべてのコンセプトをプロデュースするのは、K-POP界の「ミダスの手」(※ギリシャ神話に登場するミダス王が、手に触れたものを全て黄金に変える力を神から授かったということからのたとえ)とも呼ばれるほどの敏腕プロデューサー、ミン・ヒジン氏。
デビュー曲をいきなり全世界に公開した
楽曲制作を多数の作曲家に頼るのではなく、音楽プロデューサー・250(イオゴン)氏を中心とした少数精鋭のチームに一任する形をとったのも、ミン氏の決定だった。プロモーションを一切することなく、いきなりデビュー曲「Attention」のMVを全世界に公開するという大胆な戦略にも出た。
NewJeansのコンセプトや曲の方向性などがミン・ヒジン氏の感覚に全面的に依拠しているという点は、徹底的に分業化された現在のK-POPシステムとは一線を画している。「少女時代」などが所属する老舗芸能事務所・SMエンターテインメントのイ・スマンプロデューサーや、「KARA」を生み出したDSPのイ・ホヨンプロデューサーのような、卓越している制作者1人によって統括された、ある意味で昔ながらのK-POPのように思える。
NewJeansに対する大衆の熱狂は「脱K-POPの公式で作り出した新しいK-POP」が生んだものだろう。韓国でも既存のK-POPファンを超えて全世代を網羅するような絶大な人気を博しているNewJeansだが、日本でも同じく、社会的現象になりつつあるようだ。