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■「K-POPというシステム」を超える存在へ

 彼女らがもう1つ証明しているのは、日本進出においてもはや日本人のメンバーが必須ではないという事実だ。

 K-POPアーティストの育成トレーニングは、ダンスや歌だけにとどまらない。練習生が学校を辞めてレッスンに励むケースも多いため、学業や人間性を育む指導も重要視されている。グループの発足時点から世界をターゲットにしてプロデュースが進められるので、語学も必須だ。NewJeansのメンバーも、日本語を習得し、日本のテレビ番組への露出やトーク場面を増やしている。しかし、NewJeansが日本進出でたしかな結果を残した理由は、それだけではない。 

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2日間で9万人を動員したNewJeansの東京ドーム公演 ©文藝春秋

 ミン・ヒジンというプロデューサーの唯一無二のセンス。ある一部の世代ではなく、すべての世代にアピールできるほどの存在感とアイデンティティを持ったメンバーたち。現実とのつながりを決して手放さないノスタルジックな音楽と映像、各国の文化的背景に対する理解をもとに、徹底してその情緒に訴えかけるような戦略……。

 これらが重なりあうことで、NewJeansは既存のK-POPシステムのさらに向こう側のグループへと着実に成長しているのだ。

2023年3月、「ソウル・ファッションウィーク」のオープニングショーに登場したNewJeans ©︎AFP=時事通信社

「NewJeans」というグループ名に込められた意味

 グループ名の「NewJeans」とは“いつ着ても飽きない、毎日求められる、ジーンズのような時代のアイコンになる”、“New Genes(新しい遺伝子になる)”という意味が込められている。そこには、単なるアイドルグループではなく、“普遍的な大衆文化そのもの”を目指すという、たしかな覚悟と野心がみえる。

 NewJeansという歴史は、まだ始まったばかりだ。