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【総裁選出馬か】「派閥も出たり入ったり…」石破茂の好感度を縛る“小沢一郎”との過去

“表舞台を嫌った男”小沢一郎が動かした時代

2024/07/10
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上川陽子を総理に担ぎ上げる動きがあるが

 最近、上川陽子を総理に担ぎ上げる動きがありますが、あれも男たちが選挙用の看板にしようと考えているだけ。党内での力はないわけだから、看板として掲げて、あとは自分たちの思い通りにしようという男たちの考えが透けて見える。もし「初の女性総理」が誕生したとしても実態はなにもかわらないでしょう。

 私は70年代から日本の政治をつぶさに観察し、多くの政治家に会ってきました。そこで感じるのは、政治家の質の低下です。90年代くらいまでの政治家は言葉に力があった。与野党問わず、みんな懸命に勉強していたし、10年後、20年後のことまで考えていた。霞が関の官僚も同じでした。国を支えているのは、自分たちだという矜持を持っていた。

小沢一郎 ©文藝春秋

 でも岸田文雄を筆頭に今の政治家は言葉が軽い。マスコミがこう言っているから、SNSにこう書かれているからと、それをフリップに書き写せば満足してしまう。政治家の質が下がれば、官僚の質も下がる。ネットでウケるか、炎上しないかという目先のことばかり気にしている。とても残念なことですが、そんな政治家の言葉は、記録として未来に残す価値もないように思えます。

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●小沢が推し進めた小選挙区制の弊害、成熟期を迎えた自民党の派閥が崩壊していく様など、現在の自民党政治につながる御厨貴さんのお話の全文は『週刊文春WOMAN2024夏号』でお読みいただけます。

御厨貴(みくりやたかし)/1951年生まれ。東京大学名誉教授。専門は近現代日本政治史。著書に『権力の館を歩く』(ちくま文庫)、『天皇退位 何が論じられたのか』(中公選書)など。

文・川上康介

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