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「テレビを番組を作る人間として終わった」とまで書かざるをえなかった
それにしても、著者が「テレビ番組を作る人間として終わった」とまで書かざるをえなかったのはやはりただごとではない。なぜ、それほどまでに自責の念に駆られたのか。今回、こうして『もう明日が待っている』と題して1冊にまとめられた本を読んで、そう書かざるをえなかった著者の心情が痛いほど伝わってきた。それというのも、本書には全編を通して、鈴木氏や番組スタッフが長年にわたり、メンバーたちとの信頼関係のもと、ただひたすらに人々を楽しませるために番組をつくってきた様子が、たっぷり描かれていたからだ。
リーダーが提案し、5人を信じて生まれた旅企画
たとえば、第5章と第6章では、『SMAP×SMAP』が始まって10年以上が経ち、視聴率が落ちないよう、内容も古く見えないよう、スタッフらが必死になって企画を練る様子がつづられている。2013年、SMAPが結成から25年を迎えたタイミングで行われた、メンバーが5人だけで旅をする企画も、そのなかで生まれたものだった。
『SMAP×SMAP』では、高倉健が出たのをきっかけとして国内の大物俳優が続々とゲスト出演し(前出の『最後のテレビ論』によれば、高倉の出演は、番組の初代チーフプロデューサーが50通もの手紙を書いて実現したという)、さらには交渉に苦労しながらも、マイケル・ジャクソンをはじめ海外の大スターたちにも出てもらえるようになっていた。
この流れに加え、他局の《7人の腕利きの芸人がしゃべりまくる》裏番組が勢いを増しており、それに勝つためにも強いゲストを登場させることにスタッフは力を注いでいた。