「5人旅」の企画がすぐには通らなかった理由
これに対し、「リーダー」(中居正広のこと。以下、登場人物名は本書の表記に従う)は《ゲストはもちろんありがたいんだけど、この番組は俺たち5人が毎週ゲストなんだよ》とよく言っていたという。5人だけで旅をするというのも、もともとはリーダーが提案したものであった。世間では5人は仲が悪いと思われているふしがあり、だからこそいま、5人だけの旅を見せるべきだとリーダーは考えたらしい。しかし、上記のような事情から、スタッフたちはいまそれをやっても視聴率は取れないんじゃないかと考え、リーダーの提案に「すぐにやりましょう」とはならなかった。
それでも、その後、「演出の野口」(『SMAP×SMAP』で演出を担当していた出口敬生氏と思われる)が「ゲストじゃなくて、5人を信じて作りませんか?」と改めて提案し、実行することになる。
5人の旅は大阪からスタートした。伊丹空港に全員が集結するとリーダーの運転するレンタカーで出発、まずコンビニに立ち寄って旅行雑誌を買い、みんなで話し合ってUSJに行くと決める。そこでメンバーが直接USJに電話すると、受け入れ態勢を整えるため2時間待ってほしいとの返事。その間、メンバーは食事をするためお好み焼き屋に入った。USJを楽しんだあとは、ゴロウチャン(稲垣吾郎)から「温泉」の提案を受け、再び旅行雑誌を見て、有馬温泉の旅館に1泊することになる。
いままで見せたことのない5人を見せよう
この企画でスタッフが目指したのは、いままで見たことのない、見せたことのない5人を見せようということであった。だから、彼らが自分たちで行動したように見せなければならないし、彼らにもそう思わせなければならなかった。そこで、事前にメンバーから希望を聞いたうえで、必要最小限の指示を出したり、行く先々の関係各所に連絡をとって仕掛けを用意するなどして、5人が自然に行動をとるよう仕向けた。ただし、それはいわゆる「やらせ」とはまったく違う。