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リーダーの頭の中によぎっていたこと

 このときリーダーのなかでは、グループ結成から25年のあいだにあったさまざまな出来事が歌とともによぎっていたのだろうと、著者は推し量る。彼らはアイドル冬の時代と言われた頃にデビューしたがゆえ、それまでアイドルがやらなかったバラエティー番組へ出演することで自分たちをアピールするしかなかった。

 それでも徐々に光が見え始めてやっとブレイクしたと思った瞬間、メンバーの1人が脱退。《リーダーはきっとあの時、解散することも考えたはずだ》と著者は書くが、彼らはそのあとも、ピンチに陥ってもチャンスに変えて、メンバー全員で乗り切っていった。

SMAP ©文藝春秋

 そんな思い出がリーダーの頭の中に歌とともによぎっていったのだろう。

 このリーダーの姿を見ている人も、きっと笑いながら、思い出すはずだ。

 彼らのここまでの歴史を。

 彼らがしてきたことの凄さを。

 リーダーは、自分がこの歌で号泣するという恥ずかしい姿を思い切り見せることで、視聴者を笑わせながら、自分たち5人の絆の強さの理由に気づかせたかったのだろう。

 どこかでそれを見せることをきっと狙っていた。

 それがここだった。

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 リーダーの狙いは見事に当たり、視聴率は久々に20%を超え、5人だけでも勝てることを十分に証明した。5人は仲が悪いという世間の噂もこれで払拭されたはずだった。それがわずか3年後、同じ番組で彼らは謝罪する事態へと追い込まれ、ついには解散にいたる。鈴木氏たちスタッフが強く悔やんだのも当然だろう。