USJへ行く前に入ったお好み焼き屋にも、事前にディレクターから、テレビ撮影は可能かという確認と、自分たちスタッフが食べに行くかもしれないという予約だけして、5人が行くとは伝えなかった。一方で5人にも予約したことは教えなかったので、彼らが確実にその店に入るという保証はなかった。
「乾杯じゃねえよ」と思わずタクヤがツッコむ
それが本番では、彼らの乗る車のちょっと先にスタッフの車が走っていることに、リーダーは気づいた。スタッフのほうでも気づくだろうと信じたという。まさに阿吽の呼吸で、リーダーは先を行く車と同じ方向にレンタカーを走らせると、無事その店を見つけ、5人で入ってくれた。店側ではまさか彼らが来るとは思わず、店主と店員さんたちが慌ててざわつく。そのなかで彼らは次のように自然なやりとりを見せた。
お好み焼き3つと焼きそば。そしてリーダーが大好きな生姜焼き定食まで頼んだ。
彼らは5人だけでテーブルを囲み、グラスを合わせて、言った。
「かんぱーい」
すると乾杯したのにタクヤ(引用者注:木村拓哉)が思わず。
「乾杯じゃねえよ」
その状況のありえなさにツッコむ。
そんな「ありえない状況」も、彼らとスタッフが長年築いた信頼関係から生まれたといえる。
温泉旅館のカラオケで歌った“あの曲”
5人旅のクライマックスは、有馬温泉の旅館内にあるカラオケに行く場面だった。このとき彼らは、まさか自分たちの歌は歌わないだろうというスタッフの予想に反し、どんどん自分たちの曲を入れ、歌っていく。とくにリーダーはそれが楽しくなり、かなり酒が回ってきたところで、あの曲を入れた。
それは《大切な友達に贈る彼らの曲。ベストなフレンドに向けた曲》で、この時点で17年の番組の歴史のなかでたった2回だけ、メンバーだったモリクン(森且行)がオートレーサーになるためグループを抜ける回と、ゴロウチャンが不祥事による活動自粛から復帰した回と、グループがピンチに直面したときにみんなで歌った曲だった。
そんな特別な曲をこのときカラオケに入れ、みんなで歌い始めると、リーダーは泣き出した。ほかのメンバーはそんな彼の姿を見て爆笑する。