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耳ピアスは34mm、胸に穴を開けフックで20分間吊され…全身真っ黒のタトゥーを彫った男性が語る、痛みへの向き合い方と人体実験のワケ

大黒堂ネロインタビュー#2

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ボディサスペンションでは20分を達成

――「ボディサスペンション」の世界耐久記録を持っているとも明かしていましたが、具体的にどんなことを?

ネロ 胸の中心に1箇所ピアッシングで穴を開けフックをつけて20分間吊されました。基本的に胸の皮膚は伸びないので、痛みはずっと続きます。皮膚が伸びる場所だとトランス状態になって痛みを感じなくなるんですけど。

 1回やった時に、やり方を間違えて皮膚がちぎれてしまったんです。失敗したんですけど、「あ、これできるわ」と思って。その3年後に再挑戦したんですけど、久しぶりだったので感覚がわからなくて失敗してしまって。でも、こういうところを改善したらできそうだなっていうのは見えてきて。

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 で、また時間を置いて3回目にやった時は、正直余裕でした。10分間吊られた時に、「これは20分いける」って確信して。で、4回目で20分間の耐久を達成した感じです。

 

痛みは自分の弱さだと思っている

――そもそも身体改造に興味を持ったきっかけは?

ネロ 身体改造に興味を持ったというよりも、その過程に興味を持ちました。これをやれば、もっと自分自身を突き詰めて、より自分を理解できると思ったので。

 ボディサスペンションは、世間からできないと思われてることや無理難題と思われてることが多いので、僕の改善力が惜しみなく活かせると思ったからやりました。

――痛みは感じにくい方なのでしょうか。

ネロ いえ、痛みに敏感な方だと思います。痛みは感じなくなるものではないですが、何度も同じことを経験することによって痛みを理解することはできます。

 痛みは自分の弱さだと思っているんです。ということは自分の弱さを取れば痛みも取ることができる。

 痛いって感覚になった時に、「なぜ痛いのか」っていうのをこれまでの経験を踏まえて考えていく。物事を縦軸ではなく、横軸で見ると、痛みの理由もわかるし、痛みのその先に行くこともできると思っています。

 

――己の限界に挑戦するために続けているとおっしゃっていましたが、これまで限界を感じることは?

ネロ 限界を感じることはないです。常に失敗から学んでいるので、次の答えが目の前にあります。

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