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「57歳でCA肩叩き」から「ツアコン転身」勝手が違う接客で苦戦しながら、古希を迎える手前で感じる生きがい

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方

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それのどこがいけないのか? と思う。しかし、旅行終了後のアンケートで参加者から悪い評価をもらい意思消沈したそう。次の添乗までに気持ちの切り替えができないことが続いた。

「そこに書いてあったのは『あなたの説明は、何をどうしてほしいのかわかりづらかった。もっとシンプルに伝えるべき』みたいなニュアンスでした。特に敬語や謙譲語に慣れてない若い世代の方からそんなお声が届きました」

もちろん森さんは尊敬語や謙譲語は相手を思って使っているが、若い参加者にはどうにも回りくどく感じたのだろう。CA時代はシートベルトを締めろなどの定型文が多く、参加者も聞き流すこともあるが、添乗員はいろんなケースで重要な説明をしなければならない。

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たとえば「翌朝は早い出発とさせていただきますので、ホテルのレストランで朝食を召し上がっていただくことがおできになりません。そのため、小さなお弁当をホテル側でご用意いたしました。それをみなさまにお配りさせていただきますので、恐れ入りますが電車内でお召し上がりください」といった説明。

誇張した例だが、よくよく聞けば理解できる。しかし夜遅いホテル到着や長い旅路で疲れている場合は頭の中が混乱する。“いったい、朝食は食べられるのか? 食べられないのか? どっちだ?”と、参加者はイラッとなるわけだ。

ならば「明日は早朝出発なので、朝食にお弁当を配ります」でいい。

CA時代に長い間使っていた「お化粧室」も、「トイレ」か「お手洗い」でいい。

「ほかにも、融通が利かないといった、仕事のやり方に対する不満も書いてありました。曲がりなりにも接客のプロとして長年携わってきたのに、プライドは粉々ですよね」

カスハラで理不尽な目に遭うことも

さらに、添乗員が同行する旅行は全体的に年配層が多く、彼らの中には“カスタマーハラスメント”=カスハラを起こす者もいる。森さんはひどいカスハラを受けたことはないが、同僚は理不尽なクレームを受けたこともあるそうだ。