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27歳・9浪めでついに早稲田大に合格 濱井正吾(33)「学歴コンプレックスを克服した」はずが、まさかの“10浪目”に突入した意外な理由とは

9浪はまい氏インタビュー#3

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27歳で9浪め、6大学12学部を受験しついに…

――そして27歳で9浪めの受験ですね。

濱井 9浪めはセンター3科目で73%を取り、立命館、同志社、明治、立教、慶応、早稲田の6大学12学部を受け、ついに合格を4つもらいました。

2018年 9浪めの受験結果

センター試験 73%(3科目 英語135〈リスニング18〉、国語148、日本史85)

〇 立命館大学 文学部 東アジア研究学域

 全学統一方式

× 立命館大学 文学部 東アジア研究学域

 全学統一方式

〇 同志社大学 文学部 国文学科

 全学部日程

〇 同志社大学 文学部 国文学科

 個別学部日程

× 同志社大学 文化情報学部

 個別学部日程

〇 同志社大学 社会学部 産業関係学科

 個別学部日程

× 明治大学 文学部 国文学科

× 立教大学 文学部 史学科

× 慶應義塾大学 文学部

× 早稲田大学 文化構想学部

× 早稲田大学 文学部

× 早稲田大学 スポーツ科学部

× 早稲田大学 人間科学部 健康福祉科学科

〇 早稲田大学 教育学部 国語国文学科

 合格したのは立命館大学文学部、同志社大学文学部と社会学部、そして早稲田大学教育学部国語国文学科です。第一志望だった早稲田は、文学部やスポーツ科学部など5学部受けましたが、合格したのは教育学部だけでした。

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2018年、濱井さんは早稲田大学教育学部国語国文学科に合格(本人提供)

──その瞬間の気持ちは?

濱井 電話で合格を知りましたが、実感がわきませんでした。浪人生活が長すぎて「落ちて当然、人生報われない」という思考回路になっていたんです。だから、合格したという状況が呑み込めなかったんだと思います。

――周囲の人は喜んでくれましたか?

濱井 実は、祝福してくれる人ばかりではありませんでした。実家に戻って意気揚々と合格を報告したら、親戚に「そりゃ早稲田5学部も受けたら、いっこくらい受かるやろ」と鼻で笑われるように言われて。

――早稲田に合格したのに。

濱井 「すごいと思われるはず」と自分でも勝手に期待していたんですが、周りの人間はそんなに変わりませんでした。

「母も私の学費のためにパートを掛け持ちして働いてくれていました。それなのに…」

――27歳で憧れの早稲田大学へ入学。入学金や学費などの工面はどうしたのですか。

濱井 アルバイトに加え、給付型奨学金と親からの援助です。父に合格を報告したら「おまえ天才やな」と喜んでくれたので「実は相談が……」と。初年度の学費120万弱は、父の退職金を使わせてもらいました。

――喜んでくれたのですね。

濱井 その父は、私が早稲田2年のときに亡くなりました。10歳のときに倒れてからも苦労をかけ続けて、親孝行できるタイミングが訪れる前に他界してしまったのは、本当に心残りです。

 後で知ったのですが、母も私の学費のためにパートを掛け持ちして働いてくれていました。それなのに、私は母とろくに話さない状態が何年も続きました。本当に最低の人間だったと思います。

©志水隆/文藝春秋

――今は少し関係は落ち着いたのですか?

濱井 だいぶ普通に話せるようになりました。特に母には「あんな高校でイジメを受けたのも母のせいだ」という逆恨みを募らせたのが申し訳なくて、謝りました。9浪の後半数年はずっと冷戦だったのに、陰で応援してくれたことには感謝しかありません。

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