生まれ育った環境によって、学力や学歴などに違いが生まれる“教育格差”が問題視されて久しい。一方、恵まれていない環境から難関大学への進学を達成する人たちもいる。自身の境遇を跳ね返した彼らはいったい受験勉強にどのように取り組んでいたのか。
ここでは、9浪の末に早稲田大学教育学部に合格した濱井正吾氏の著書『浪人回避大全 志望校に落ちない受験生になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を抜粋。同氏の教育環境、受験勉強期を振り返りながら、受験生に向けたメッセージを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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人の意見をすぐに信じる
世の中には信用できない人間も大勢いますので、注意が必要です。
では、何をもって相手を信用に足る人間だと判断するべきなのでしょうか?
肩書きでしょうか? 実績でしょうか? 知名度でしょうか?
正解はありません。なぜならどんな情報も自分で精査して判断するべきだからです。
情報が氾濫する時代になり、現在教育現場では「批判的思考力」という言葉が頻繁に飛び交うようになりました。
どんな情報もまずは自分で精査し、比較検討した上で、合理的・論理的な判断を下すこと。この能力を鍛えることが、中学校・高等学校の教育段階で重要視されていることの一つなのです。
自分の頭で物事を考えて判断をする
とはいえ、それを子どもたちに伝える立場である我々大人が、こうした能力が十分身についているかと言われれば必ずしもそうではありません。
「テレビに出たり本を出したりしている人が講演で言っていたことだから間違いない」
「信用できる友達の紹介だからこの勉強法は正しい」
「高学歴の大人の言うことを聞いておけば自分も絶対大丈夫だ」
我々が高度な知的経済動物として社会生活をしている以上、人との関わりは避けられません。所属する環境や共同体によって、価値観はさまざまであり、完全に中立的でバイアスのかからない考え方ができる人は極めて少ないでしょう。