「大学は誰でも入れる」という言葉に代表されるように、以前に比べて大学受験の難易度が低下していると考える人は少なくない。しかし、実際には有名大学を中心に実質倍率3倍以上の大学が多数あるなど、多くの現役生や浪人生は今も厳しい戦いを強いられている。

 そんな状況で9度の浪人を経て早稲田大学に入学した濱井正吾氏は、自身の受験体験を『浪人回避大全 志望校に落ちない受験生になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)にまとめた。ここでは同書の一部を抜粋し、同氏が明かす浪人時代の苦悩、入学後に体験した“残酷な事態”について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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浪人の恐怖に怯えている方へ

 浪人は絶対にしたくないと思っている受験生は多いと思います。今まで同じ年齢で似たような学力の人間と同じ環境で育ってきた人が、競争に負けて社会のレールから外れ、いきなり所属のない、何者でもない人間になってしまう恐怖。多感な10代であることも相まって、その絶望感は筆舌に尽くしがたいものがあるでしょう。

 特に浪人に対する嫌悪感は、世間体を気にする地方になればなるほど強まっていきます。そのため、親戚や教師からプレッシャーをかけられて、確実に合格できそうな安全圏の大学だけを受けて浪人を回避しようとする生徒も少なくないでしょう。

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 浪人生は社会的にはただの無職です。何の前触れもなくいきなり同世代の人間だけのコミュニティから離されて、育った時代背景も、考え方もまったく違う親子以上に歳が離れている人々とコミュニケーションを取らなければならない日々に放り出されます。

 こうした環境の劇的な変化に伴う難題の連続で、心の許容量を超えてしまい、対処しきれなくなることもあるかもしれませんよね。

失敗をバカにするような人はきっといない

 そのとき、あなたを支えてくれるのは自分の意志を貫いて挑戦した経験です。自分で認識していた己の能力よりも、ずっと難しい大学を目指して必死で努力し、D判定でも、C判定でも思い切って出願して限界に挑んだ経験は、たとえ受からなくて浪人することになっても最後に受かれば自分の人生を肯定することになります。