だからこそ、自分の頭で物事を考えて判断をする必要があるのです。付け加えると、その判断の引き出しを増やしてくれるのが、受験勉強で得る思考力と知識です。
負の感情に取りつかれる
浪人を重ねると、認知が歪みます。
私は自分を世界で一番不幸で、無能で、ダメな人間であると決めつけ、責め続けました。そうした自省を繰り返していると、自分だけでは消化し切れなくなって、だんだん人や環境のせいにしだしてしまうのです。
「こんなに毎日勉強しても成績が伸びないのは環境のせいだ」
「幼少期に教育に投資してもらっていたらこうはならなかった」
「貧乏だから予備校で勉強ができない、行きたい大学に行けない……」
私もこうした負の情念に支配され続けた人間でした。
私は世帯年収200万円程度の大卒者のいない家庭で育っているため、教育に投資する、大学に行くという価値観がそもそもありません。生まれた時点での環境の格差は歴然たるものがあると確信しています。
「優秀な人間は環境に不満を言わない」と、人気予備校講師の林修先生がかつてテレビ番組でおっしゃっていました。たしかに、私もこれについては部分的に同意です。
なぜ「部分的」なのかと言うと、この言葉には誰もが人生逆転の手段である受験をすることができる環境があるものだという前提があるからです。そもそも「大学受験をできること自体が恵まれている」のです。
前述のような過酷な環境で、なんとか這い上がろうとすること自体がどれだけ難しいことかはわかっているつもりではあります。それでも、自分の境遇を跳ね返すためには、さまざまな人に話を聞いたり、インターネットで調べたりするなどして情報に触れ続け、自分なりの活路を見出してほしいと思います。
目標がふわっとしている
「偏差値40から早稲田に行けるか?」
私がよくSNSで質問を受ける言葉です。大勢の受験生はこの「偏差値」に振り回される学生生活を送っているはずです。