「高校生が性行為をしたこと自体が悪いと考えていて言い出せなかった」
この出来事でマサミさんの精神は限界を迎え、夕食後についに母親に公園での性被害について告白した。
「自分の中でもずっと、親に言うか言わないか葛藤がありました。親のことを一番信用しているので、話したら助かるんじゃないかとは思っていたんですが、高校生が受験前の時期に性行為をしたこと自体が悪いと考えていたので言い出せなかったんです。
同意があったかどうかではなく、同意だとしても悪いことだと。それで、『自分が悪いことをした』と言いました」(マサミ)
マサミさんの告白に母親はショックを受けたが、取り乱さないように話を聞いた。
「『実はレイプされている』と聞いた時は驚きました。『どういうこと?』と聞くと、『そこの公園で』と。
『いつ?』と聞くと、『交際1カ月記念日に花火をしたとき、そういうことになった』と言います。花火をしたのは夜の公園なのでおかしいと思い、『トイレの個室に引きずり込まれたの?』と聞きました。すると、『違う。壁のところ』とマサミは言いました。深刻だと思いました。マサミは終始泣きながら話していて、パニック状態でした。『これは体の関係があるとかじゃない。完全にレイプだ』と確信しました」(母親)
Aの母親が言い放った「あなたは娘さんの気持ちを考えたことがあるんですか?」
マサミさんから被害のあらましを聞くと、即座に母親はAと両親を自宅に呼び寄せた。しかし、Aと両親の対応は、とても真摯とはいいがたいものだった。
マサミさんの母親が「娘から、Aにレイプされていると相談を受けた」と伝えると、Aの父は「知りませんでした。初めて聞きました」と回答。さらにAの母は「レイプなんてひどい。あなたは娘さんの気持ちを考えたことがあるんですか?」となぜかマサミさんを責めるような発言をした。
Aの父親も「何を言いたいんだ? 18歳過ぎた大人で、付き合っている2人を引き裂くのはやりすぎ」とレイプであることを否定し、「謝ればいいんですか? すみませんでした」と畳みかけた。
あげく、「何が望みかわからない。それがわかるまで居座る」と居座ってしまった。
深夜3時を超え、マサミさんの母親がたまりかねて110番通報をすると、警察官5人がやってきた。Aと両親は庭先で事情聴取を受けると、警察官に「これからは連絡してから会うように。勝手に行ったらあかんよ」とたしなめられ、ようやく帰宅した。
翌日、出張から帰宅したマサミさんの父親がA宅を訪問し、接見禁止を伝え、スマホのやりとりや写真データの削除をするように約束させた。
「Aの父は性行為があったことは認めましたが、最後まで同意があると主張していました。『娘は、助けて、と言っています。同意じゃないです。生徒指導でもそうですか?』と伝えると、Aの父は『いや……』と口を濁しましたが、今でも、謝罪の必要はないと言い張っています。ただ、後で学校に対して謝罪文を提出したという話は聞きました。しかし私たちはその謝罪文を見ていませんし、そもそも存在するかどうかもわかりません」(母親)