「ヤバいぞ、今の選手は本当にヤバいぞ」
――えっ、眞鍋さんがディスったりするんですか。
竹下 笑いを取ったり、場を和ませる時にやりますね。例えば、眞鍋ジャパンがスタートしたばかりの頃、ロンドン五輪で銅メダルを獲った私たちが「アントラージュ」として招集されたんです。アントラージュとは「取り巻き」を意味するフランス語ですが、私たちに現代表をサポートするようにと。
全員が集合した場で、眞鍋さんは私たちに向かってこう言ったんです。「今の選手は、お前たちよりみんなポテンシャルが高いわ。ヤバいぞ、今の選手は本当にヤバいぞ」って。
別に私たちと比較しなくたってと思ったけど、今の選手たちはその言葉でロンドンメンバーに対する緊張が解けたと思うし、私たちも、今の代表選手はそんなに凄いんだ、という期待感で否が応でもサポートしたくなりますよね。
確かにその時、選手個々のプレーを見て、今はチームになっていないけど、これが戦う組織としてがっちり固まったら、凄い絵になるだろうな、という予感はありました。
古賀に次ぐエースに成長した石川、井上
――竹下さんはアントラージュとしてだけでなく、監督付戦略アドバイザーとして代表チームに関わってきました。一番成長した選手は誰ですか。
竹下 私は小学生2人の息子たちの子育てがあるので常勤ではなく、時間があるときに合宿に参加する形ですが、ただ情報の共有化はしっかり取らせてもらっています。
そんな中、一番伸びた選手を上げるなら、古賀(紗理那)選手は別格として、石川(真佑)選手ですかね。以前は、同じポジションに井上(愛里沙)選手がいるので、どっちがスタメンかなという時期もあったのですが、今や古賀選手に次いで石川選手、井上選手もエースに成長しましたよね。
以前は、サイドとしては174cmと身長がそれほど高くなかったから、相手の高いブロックを嫌がっている様子がありましたけど、昨シーズン、イタリア・セリアAで闘ってきたせいか、高いブロックにも迷いがなく打ち切れるようになりましたね。ブロックアウトやコース打ちの技術もさらに磨きがかかったし、古賀選手とともに石川選手、井上選手と3枚いることは、日本としても心強いと思います。