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初めてリベロ2人が選ばれた

――パリ五輪には小島満菜美選手、福留慧美選手のリベロが2人出場します。リベロ制が導入された1998年の国際ルール以来、五輪でリベロ2人が選ばれたのは初めて。これも眞鍋マジックでしょうか。

竹下 眞鍋さんは時々、突拍子もないことをやりますが、ただそれは勘ではなく、ロジカルな思考で考え抜いた戦略なんですよ。パリ五輪でメダルを獲るための究極の選択だったんだと思います。

 今の日本はディフェンスが生命線と言ってもいい。だから、攻撃枚数を減らしてでも、ディフェンスを固めようと考えたんでしょうね。サーブレシーブのスペシャリストの小島選手、ディグ(アタックレシーブ)が得意の福留選手。どちらも外せない。というのも、バレーは空中ゲーム。床にボールを落としたら負けなので、どんな状況でも拾い切る2人がいると負けないし、チームにも安定が生まれるんですよ。

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小島満菜美 ©時事通信社
福留慧美 ©時事通信社

 ただ、こういう変則的な布陣を可能にしたのは、宮部藍梨選手の存在が大きい。宮部選手はもともとサイドアタッカーだったけど、米国の大学留学中に高いブロック技術も身に付けた。代表ではブロック登録ですが、サイドアタッカーもこなせるので、その分、攻撃枚数を減らして、ディフェンスを固めるという戦略が可能になったんです。

宮部藍梨 ©時事通信社

 加えて、古賀選手が絶対的に安定していることはやっぱりチームの大きなアドバンテージです。石川選手、井上選手、東京五輪でも活躍した林(琴奈)選手らサイドアタッカー陣が実力を上乗せしてきたこともあり、リベロを2人にするという決断をしたんだと思います。