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 第三に、事務事業評価は基本的に全数評価で行われます。全数評価とは、全ての事務事業を同一の手法で評価するアプローチを指します(反対は「重点評価」)。このアプローチは、多数のデータの網羅が可能なうえ、同じ様式=事務事業評価シートに沿って評価を行うため、情報を入手する側としても分かりやすいといったメリットがあります。しかし、全ての事務事業を対象に行うため、チェックは広く浅くならざるを得ません。また、画一的なフォーマットで多くの事業を評価するので、事業ごとの特性を踏まえた評価にならないことがあります。加えて、プログラム評価ほどに専門性を必要としないとは言え、数が多いので評価にかかる活動量は膨大なものです。このため、現場が抱く負担感も大きくなりがちといった点も問題として挙げられます。

 このような特徴を備えた事務事業評価は、三重県において導入され、大規模な予算カットに成功したと話題を呼びました。当時、三重県知事で改革を主導した北川氏は、事務事業評価の仕組みを導入したねらいについて、アウトカム指標を設定することによって、成果を意識した行政運営を根付かせることにあったと振り返っています。

三重県伊勢神宮内宮の宇治橋 ©︎kriver/イメージマート

「業績管理/業績測定」型の取り組みが主流に

 これらの情報を整理すると、事務事業評価は「二つの流れ」で言うところの「業績管理/業績測定」型の取り組みと見なせそうです。ただし、事務事業評価の中には、事業のセオリーやプロセスの検証を行っているものもあります。先ほど掲載した事務事業評価シートにも、必要性についての検討や、施策との整合性といった、業績測定では取り扱わないものも扱われていることが分かります。よって、事務事業評価は、業績測定的なアプローチを中心に据えつつも、プログラム評価を簡易的に実施する取り組みだと言うこともできます。やや複雑ですが、要するに事務事業評価を単なる業績測定だ、と言い切るのには慎重になった方がよさそうです。

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 厳密に言うと微妙なところもありますが、ひとまず、自治体における評価は、「業績管理/業績測定」型に比重をおいた取り組みが主流となったということを、ここでは確認しておきましょう。こうした流れは、国の政策評価の実践にも影響を及ぼし、日本の政策評価の文化は、国・自治体双方ともに「業績管理/業績測定」型が優位となったわけです。