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ただ、私としてはその宗教観を強調したかったわけではなく、どちらかというと、「娘にとっては完璧なお母さんでも、娘目線以外の部分ではいろんな側面をもっているのが人間だ」ということを感じさせたかった。そういう幅、余白をもっているという意味でも、地獄にいるほうがより人間らしいというか、「お母さん」ではない部分があることを伝えられたらいいなと思って、「地獄にいるお母さん」像を固めていきました。
宗教観の違うフランスでは、「血の穢れ」の思想に関しては理解が得られない部分もありましたが、私が伝えたかった思いについては説明すると納得してもらえました。
久野遥子(くの・ようこ)
1990年、茨城県つくば市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2015年、岩井俊二監督による『花とアリス殺人事件』のロトスコープアニメーションディレクターに抜擢され、以降『宝石の国』の演出・原画や、『ペンギン・ハイウェイ』のコンセプトデザイン、映画『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』のキャラクターデザイン・コンテ・演出・原画等で活躍している。