そうしたら、ちょうどいいタイミングで、日中韓文化事業イベントで流す『東アジア文化都市2019豊島PR映像』のお話をいただけて。この時に共同監督という形でやらせていただけたことで、今回スムーズに作品づくりに入れたと思っています。
その短編では、今作の『化け猫あんずちゃん』でもご一緒する池内義浩さんなど、「チーム・あんず」にかかわる方も多く参加されていたんですよ。ですから、アニメ制作側としては実写チームの動きを、実写制作側は「ロトスコープアニメってこういうことができるんだ」ということをお互いに知る、すごくいい機会にもなったと感謝しています。
フランス側から提案があった“ピエール・ボナール”がヒントに
──今回は、フランスのスタジオ「Miyu Productions」もアニメ制作にかかわっています。これは、どういう経緯ですか?
2018〜19年頃だったと思うんですけど、Miyu Productionsから、私の作品に興味があるから何か一緒につくらないかと、個人的に制作のお誘いをいただいたんです。まさか自分がフランスのアニメーション会社からお声がけいただけるとは思っていなかったので、すごくビックリしたんですけど、ちょうどその頃『化け猫あんずちゃん』の企画が上がった頃で。自分としてはあんずちゃんをやりたかったけれど、なかなか企画が進まなかったので、「いまこういう企画を進めているんですけど、一緒にやりませんか」って逆提案したんですよ。そうしたら「すごく面白い」と興味を持っていただけて、そこからあんずちゃんの企画も動き始めました。
──Miyu Productionsとの役割分担はどのように。
実写撮影とキャラクターの作画は日本側で行い、背景美術と色彩設計をMiyu Productionsが担当する、という体制で制作を行いました。
Miyu Productionsの美術監督のJulien De Manさんは、ジブリの『レッドタートル ある島の物語』の美術担当もされている方です。作品によってトーンを変え、その作品の持ち味を最大に引き出してくださるのが特徴で、今回はあんずちゃんの企画を観た時に、ポスト印象派のピエール・ボナールの絵がイメージにあるとご提案くださり、そこからイメージがふくらんでいきました。