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【五輪汚職公判】検察側が森喜朗氏の供述調書を一部撤回していた《「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則」で明かされた“新事実”》

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弁護側の不同意部分について撤回すると表明

 そうした中、行われたのが、5月16日の第8回公判だ。西﨑氏によれば、この日は、これまでの公判で明らかになった出版大手「KADOKAWA」が新設された出版枠のスポンサーに決定した経緯などが、改めて冒頭陳述で取り上げられたという。弁護側は、治之氏の影響力の源泉は、組織委員会理事としてのものではなく、スポーツマーケティングの第一人者で電通の有力OBとしてのものだと指摘。引き続き無罪主張を重ねた。一方、検察側はどう対応したのか。裁判官から意向を確かめられると、森氏の供述調書のうち、弁護側の不同意部分について撤回すると表明したのだ。

みなし公務員としての職務権限が焦点に ©時事通信社

治之氏は「化けの皮が剥がれたはずですよ」

 西﨑氏の取材に対し、治之氏は次のように述べている。

「森さんの証人尋問を行なわない代わりにこちらが指摘した部分を撤回したということ。(略)森さんが証人で出てくれば、明確に否定されて、化けの皮が剥がれたはずですよ」

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組織委員会の会長だった森氏 ©時事通信社

 森氏は代理人弁護士を通じて、以下のように回答した。

「現在係属中の裁判に関わることについては回答を差し控えます」

 治之氏と、一歳下の弟で同じく東京地検特捜部に逮捕され、2005年に亡くなった治則氏をテーマにした西﨑氏の連載「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則 五輪を喰った兄と長銀を潰した弟」(全29回)は、「週刊文春」7月25日(木)発売号で最終回を迎える。最終回では、森氏の供述調書の撤回に関する詳細のほか、五輪汚職事件や治則氏に対する治之氏の想い、長崎県平戸市にある治之氏と治則氏のルーツなどについて綴っている。

 狂乱の時代を駆け抜けた「バブル兄弟」とは一体、何者だったのか――。緻密な取材と迫力の筆致で描く西﨑氏の連載は、第1回から最終回まで「週刊文春 電子版」でお読みいただけます。

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