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日本人であれば……

 日本人であれば、「では、一杯だけ」と口をつけるでしょうが、グローバルなリーダーは平気で断ります。

 日本では、いわゆる飲みニケーション文化が根強いのですが、海外では、17~18時になったら仕事を終えて、あとは家族や恋人との時間を過ごす国のほうが圧倒的に多いのです。

「一緒にお酒を飲めば、本音が聞ける」「お酒なしには信頼関係は築けない」などという歪んだ考え方は、日本でしか通用しません。

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 もちろん、僕も仕事で知り合った人と飲みに行くことがよくあります。ですがそれはあくまで、仕事を通じて得た信頼関係の「プラスアルファ」部分です。

 就業時間内のコミュニケーションで既に信頼関係は築けており、その上で相手もお酒が好きなことがわかっているのですから、それは、友人同士の通常のお付き合いと同じです。僕は、お酒がないと信頼関係が築けないなどとはまったく考えていませんし、無理に誘うこともありません。

写真はイメージ ©AFLO

(4)公平性を欠くから

 あるグローバル企業のトップは、「役員になってからは、部下とランチに行くことも、飲みに行くこともない。秘書と食事をすることもない」と話していました。

 理由は、「一部の人とだけランチを共にすると、公平性を欠いてしまう。全員とランチをすることも飲みに行くこともできないのなら、誰とも行かないのがフェアである」からです。そこまで厳しくする必要はないとも思いますが、フェアネスを何より大切にするこのトップの見識には感服しました。

 たとえば、秘書など、身近にいる人とだけランチをしていると、彼らの限られた情報だけが自然と耳に入ることになります。それでは正しい判断はできません。ランチの場を使うなら、普段なかなか話をする機会がない人とランチをとるべきです。

 トップは会議等で、あるいは社内を回って、等しくいろいろな人の話に耳を傾けるべきです。もちろん、それは就業時間内に行うべきであって、飲み会の場を安易に使うべきではありません。