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乱交パーティーを楽しむことも

 行為に及ぶのは選手だけではない。五輪の選手村はいたれりつくせりで、たくさんのスタッフがいる。選手によると、マッサージ師が施術中に身体を褒めてきたり、大勢のボランティアが部屋に入ってきたりするのだという。世界最速の男ウサイン・ボルトの場合、 マッチングアプリをつかい、入場パスを持っていない者を連れ込んでいたと暴露されたこともある。

 多くの競技が終わっていく後半期に入ると、乱痴気騒ぎもヒートアップ。シドニー五輪では、出番を終えた米国の射撃男子チームがおさえた部屋が乱交空間と化し、世界中の選手が押し寄せたという。2010年バンクーバーの独加豪スキー選手のように、近隣の住居を借りて乱交パーティーを楽しむこともあるようだ。

 閉会式まで楽しみはつづく。オーストラリアのサッカー選手アリシア・ファーガソンいわく、カメラに隠れて酔っ払って身体をまさぐりあうパーティーと化しているらしい。こうしたお祭りの中心にいる米国サッカー女子軍団の場合、2008年北京五輪後にはハリウッドへ飛び、芸能人たちと二次会を満喫したこともあった。

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アリシア・ファーガソン ©getty

 選手村の約束は「ここだけのこと」。もう二度と会わなそうな人々と楽しむ秘密の楽園というわけだ。それでも、一生ものの愛が生まれることもある。テニス界きってのおしどり夫婦、スイスのロジャー・フェデラーとチェコのミロスラヴァが出逢ったのはシドニー五輪だ。

競技前の性行為の影響は?

 五輪村での性行為を禁止するコーチもいるというが、十分な睡眠をとった上での競技前の性行為がパフォーマンスに響くかどうかの定説はないという 。米国女子初の柔道五輪メダリストであり総合格闘技のスター、ロンダ・ラウジーのように、 テストステロンを高めるための性行為をこころみる選手もいる。

ロンダ・ラウジー ©getty

 とはいえ、人間関係に響くパターンもある。2016年リオ五輪では、シンクロナイズドダイビング10m高飛込で最下位に終わったブラジル女子ペアの解散騒動が起きた。当時10代であったジョバンナ・ペドロゾによると、試合前夜、パートナーのイングリッド・オリベイラがカヌー選手をつれこんで一晩中セックスしていたため、部屋から追い出された彼女は寝ることができなかった。対するオリベイラは、性行為を認めたものの、試合前夜でも一晩中でもなかったと主張。「オリンピックでセックスは普通のこと」だとしてペドロゾも同じことをやっていたと反論した。

 選ばれしアスリートたちのお楽しみとはいえ、あとにひかないよう気を配ったほうが良いのは、一般人と同じかもしれない。コンドーム配布にあたり「性行為における同意と快楽」を啓発信条とするパリ五輪でも、選手たちの平和と健闘を祈ろう。