自衛官の定年は一般企業、他の公務員よりも早く、年間6000人の退職者の大部分が55歳前後だという。定年後も大企業顧問、研究機関の長、大学、メディアなどで活躍できるのは、一握りの超エリート自衛官だけ。そのほかの自衛官はどんなセカンドキャリアを歩み、どのような現実と向き合っているのだろうか?

 ここでは、防衛大出身の作家・松田小牧氏が、自衛官のセカンドキャリアを追った著著『定年自衛官再就職物語 - セカンドキャリアの生きがいと憂うつ -』(ワニ・プラス)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

写真はイメージです ©YANCHINGNOW/イメージマート

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自衛官の年収は300万円未満から1000万円以上まで

 自衛官はどの程度の給料をもらっているのか、そして辞めた後はどうなるかについて、ここで説明しておきたい。

 自衛官の給与は、階級や勤続年数、職務の成果などからなる号棒によって決まる。自衛官の給与を規定している俸給表によると、陸将・海将・空将では70万6000円から117万5000円、一佐では39万6200円から54万5100円、1尉では28万1200円から44万6000円の範囲となっている。

 この基本給に加え、夏、冬には合わせて4.5か月分の給与が支給される。給与は職種や環境によっても異なり、艦船に乗り組む場合には乗り組み手当、航空機を操縦する場合には飛行手当が支給され、艦船に搭載された航空機のパイロットは乗り組み手当と航空手当が支給される。

 自衛官の平均年収は、鳥取地方協力本部が公開しているデータによると、幹部自衛官では25歳約510万円、30歳約610万円、35歳約730万円、40歳約870万円、45歳約900万円、50歳約980万円となっている。

 一方、准曹では、25歳約400万円、30歳約480万円、35歳約570万円、45歳約640万円、50歳約700万円、55歳約750万円という数字だ。これらの目に見える給与に加えて、官舎には破格の家賃で住むことができるし、駐屯地・基地内では栄養とボリュームと美味しさが確保されたご飯を喫食することもできる。