1分以上同じことを話すと眠たくなる

 彼にはトリッキーな面と、ものすごく話を聞いて動いてくれる理解者の面、両面があります。表には強くて恐ろしい部分が多く出ていますが、すごくロジカルに話ができる相手でもあると私は思っています。

 彼は、つねに簡潔に話してほしいのです。

 私がプレゼンしているときにもそう感じました。感覚的には、1分以上同じことについて話していると、眠たそうにし始める。すぐスマホを見始めます。こちらとしては「飽きてるな」とわかります。怖いわけではないので、緊張はしませんが「長いと飽きられる」というなかで、いかにつかみで彼の気を引くかには気を使いました。

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 イーロンは普通の人以上に短気なのかもしれません。というより、実現したいことが巨大なので、余計な時間を費やすことは無意味以上に悪なのでしょう。

 私が彼に話すのは広告事業についてだったり、日本の戦略の話題です。しかし彼にとっては小さな話に見えてしまう。彼の大テーマは「人類にとって最適な表現の自由を作りたい」「スーパーアプリを作りたい」という部分だからです。

 これも良し悪しです。

 世の中には、現場を知って議論するうちに、どんどん細かい部分に入っていってしまう経営者もいます。それによって、最初は大きなビジョンがあったはずなのに、いつのまにか存在意義や差別化が浅い、「普通」の会社になってしまうということもある。

©getty

 しかし、イーロンにそういうところはありません。ミクロな視点を持った彼もいますが、大きなビジョンを掲げる彼がいます。その両者は違う人物なのかもしれないと思うほどダイナミックです。