スペインに負けた大岩ジャパンの選手たちに“必要なこと”
――評価が高かった藤田選手は、どう見ていますか。
城 グループリーグでは別格なプレーを見せていたけど、スペイン戦は足が止まる時間があった。藤田が動いて相手の合間でボールを受けてパスを出せば、もっとチャンスを作れるはずなのに、動きが止まってしまう。能力が高いし、落ち着いてプレーできる選手だけど、90分間を通してハードワークできる選手にならないといけない。この悔しさを糧にしてこれからどれだけ意識を高く持ち、成長していけるか、ですね。
――五輪での悔しさは、その後のサッカー人生に影響を及ぼすものですか。
城 僕が出場したアトランタ五輪の時は、2勝1敗だったけどグループリーグを突破できなくて、本当に悔しかったし、もっと試合がしたいと思った。こういう真剣勝負の場ってなかなかないし、こういう場で勝負したいと思った。通用する部分、しない部分が見えたけど、それを受け入れつつ、上のレベルでやりたい、次は日本代表だって思わせてくれた大会だった。
そういう上昇志向というか、ガツガツしたものがゾノ(前園真聖)を始め自分たちにはあったんです。今回、スペイン戦で負けた選手もきっとそういう思いでいるだろうし、そうなっていかないと世界や代表ではプレーできないと思います。
世界の若い選手たちはすごい勢いで成長している
――日本は北中米W杯でベスト8を目標にしています。しかし、今回のスペイン戦を見ていると、世界のレベルは急速に高くなっており、改めて容易ではないと感じました。
城 日本は、カタールW杯でドイツやスペインを破り、親善試合でもドイツやトルコに勝つなど、世界を相手に少しずつ結果を出せるようになり、レベルが上がってきています。
でも、例えばユーロで優勝したスペインなど、若い選手たちがすごい勢いで成長している国がありますし、フランスなど他国も同じように強くなっている。今後、目標達成の厳しさはさらに増していくでしょう。日本は、世界との差をこれから縮めていくために、足りない部分を補うことが必要になってきます。
――足りない部分とは、どういう点になりますか。
城 日本はグループ戦術が得意だし、一体感もある。でも、個人能力の差は、スペインと比較してもかなりありました。フィニッシュのシーンを見ると、あのミドルを2発決めてくる決定力は今の日本の選手にはないでしょう。セットプレーからの得点力もしかりです。個をより高めていかないと攻守においてレベルアップができない。
そのためにはチームでレギュラーを取るのはもちろん、今いるチームからさらにレベルアップして、強豪クラブに行くなど、高いレベルでやっていかないといけない。選手たちは、今回のパリ五輪でそれを感じたと思うので、行動やプレーで示していってほしいと思います。
取材・文=佐藤俊