日本がセットプレーから2失点したワケ
――グループリーグでは無失点でしたが、スペイン戦では3失点。そのうち2失点は城さんが「危ない」と指摘されていたセットプレーからの失点でした。
城 2失点目はスペインのサインプレーでしたね。日本はゴール前の守備に人数を割いていましたが、CKでペナルティエリア外にいたフェルミン・ロペスにパスを出されて、フリーで決められた。後半28分で疲れもあったと思うけど、関根(大輝)や藤田の反応が遅れて、寄せきれなかった。
ボックス内には選手がたくさんいたので、CKを蹴る選手の動きを見て、反応しないといけないし、もっと寄せてシュートコースにも入らないといけないけど、足が止まっていた。シュートが素晴らしかったのもあるけど、ちょっと隙を見せると世界レベルでは決められてしまう。グループリーグでの堅い守備も、今回は小さな綻びが出ていました。
――大岩剛監督の選手交代を含めた采配は、どう見ましたか。
城 前半、斉藤(光毅)や山田(楓喜)が自分の良さを十分に出せなかったので、ハーフタイムで藤尾(翔太)を入れ、その後も佐藤(恵允)や植中(朝日)、荒木(遼太郎)を入れて点を取りにいったけど、スペインに流れをもっていかれた中では、選手交代で流れを変えることができなかった。
システムを変更するなど何か変化をつける必要があったけど、後半30分以降は、逃げるスペインのうまさが目立って、大岩監督は打開策を見つけることができなかった。いいチームを作ったけど、一か八かの策がなく、勝負師ではなかったと思います。
城彰二が感じた日本とスペインの差
――スペインと日本の差は、どういうところにあると思いますか。
城 個人能力の高さです。日本の選手も技術はあるけど、パスを受けるときに、ワンタッチで相手の逆を取ることができない。だから相手のプレッシャーを受けてミスするパターンが多いんです。
でも、スペインの選手は、トラップをする前に相手のポジションを見て、体の向きを360度変えて、相手と逆方向にボールをコントロールして次のパスを出していく。そのため、速いパス回しが可能になり、日本がプレッシャーをかけてもなかなかボールを奪えない。そういう体の使い方と、いろんな状況下でコントロールする技術に大きな差があると思いました。
――今大会で、今後、W杯を戦う日本代表に上がってきそうな選手はいましたか。
城 やっぱりGKの小久保(玲央ブライアン)ですね。グループリーグではMVPレベルの仕事をした。今後、もっと国際舞台でのプレーを経験し、スペイン戦の1点目を止められる選手になれば、日本代表の正GKになれると思います。
DFの高井(幸大)も良かったです。192cmと背丈がある上にスピードがあるし、足元の技術が高く、ヘディングも強い。スペイン戦では、セットプレーからヘディングシュートをして、クロスバーに当たったシーンがあったけど、あのシーンを見ると、点が取れるセンターバックになれる可能性を秘めていると感じます。今後、チームでレギュラーになり、成長していけばいずれ冨安(健洋)のような選手になっていくと思います。