――一見変わらない生活をしつつも、徐々に治療や入院は迫ってきますよね。
見栄晴 入院する前にPET検査と歯医者さんに行く必要があって、それは大変でした。
――歯医者さん?
見栄晴 喉とか口の周りに放射線を当てると、しばらく歯の治療ができなくなっちゃうんですよ。 治療することで細菌が入ったり、治りづらくなったりするから。だから、虫歯の疑いがある歯は先に抜かないといけない。僕の場合は年齢もあったし、歯が弱いっていうので4本抜くことになって。
――それは知りませんでした。4本も抜くのはなかなか大変ですよね。
これが結構大変だった。スケジュール的に時間がないから、1日3本歯を抜いたんだけど、その夜に血が止まらなくなって、自分で車を運転して緊急で病院に行きました。結局終わったのが朝5時とかだったかな。それで歯の治療が終わった次は、癌が他の場所に転移していないかを見るPET検査にも行きました。
「大腸に別の癌の可能性があります」
――入院までの2週間はあっという間に。
見栄晴 そうですね。気づけば入院する2月2日になったんですけど、入院初日に衝撃的なことを言われて。PET検査の結果「食道にも肺にも癌は飛んでないけど、大腸が怪しい」と。
喉から大腸の転移はほぼないから、別の癌の可能性がありますと言われて、「えっ」となりました。耳鼻科と放射線科、歯科ときて、今度は全然関係ない消化器科に行って新たな検査をしなくちゃいけなかったんです。
ただ大腸は癌だとしてもまだ小さいから進行が遅いし、まずは喉を治してくださいと消化器科の先生に言われました。
――同時に治療はできないんですね。
見栄晴 放射線科の先生から「抗がん剤と放射線で喉が腫れ出す時期だから、バリウムを2リットル飲むことが不可能」という理由でNOが出ちゃったんです。
でも僕が「同時にやってください」と頼んだら、先生が病理検査の結果を見て「こんな順番で手術したことはないけど、もしやるならまだ水分が飲める明後日に」と話が急転して。それで喉の前に大腸の内視鏡手術をすることに。
――大腸癌のことは初めて聞きました。インスタグラムやメディアでは公開していないですよね?
見栄晴 そこはね、言うとややこしいし、また心配される方もいるかなと思って。
でもやってみて思ったのは、PET検査って俺みたいにすでに癌が見つかってる人が転移とか進行具合を見ることもできるし、オズワルドの畠中くんみたいに、早期発見にも役立つってこと。
ちなみに健康診断で自由診療として受けると10万円くらいかかるけど、僕みたいに既に治療に入ってて病院が予約した場合、保険が適用されて3万円くらいだから、もっと多くの人が受けられるようになるといいよね。