――現在、お酒やタバコの代用品みたいなものって見つかりましたか?

見栄晴 退院して3週間後くらいから味覚も戻ってきてるんで、今いろいろ試しているところです。味覚障害を経て甘いものが好きになって、3キロ太っちゃったの。だから次回の検診では、採血もお願いして、糖分の数値も調べてもらおうと思って。飲み物はコーヒーだと利尿作用がちょっとキツいから、水を飲むようにしてるんだけどね。

 

「死ぬことは怖くないけど、生きたいんだって」

――通院を終え仕事にも復帰し、経過観察中となった今、一番楽しいことってなんですか?

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見栄晴 当たり前のことが当たり前にできてること。癌になる前は、土曜日の夜が一番好きだったんですよ。『競馬予想TV!』を終えて家に帰って、まずビール。で、タバコを吸ってご飯食べて、次の日は休みだから競馬予想をしながらゆっくり寝れる。

 今は、お酒は飲めないけど仕事に復帰できて、ものすごい充実感。“帰ってきた土曜日”っていう感覚です。

「仕事に関しても、改めて考えたような気がするんですよ」

――生きること、死ぬことに対しての意識に変化はありましたか?

見栄晴 今でも死ぬことは怖くないですよ。でも、自分が生きたいんだって思いました。

――そんな見栄晴さんが、「声を失うと完全に仕事を失ってしまう」と仰ってたのが印象的です。

見栄晴 この世に生きてる意味が感じられなくなる恐怖なんですよね。それぐらい、仕事ができなくなるのは僕にとってツラいこと。

 

  その仕事に関しても、改めて考えたような気がするんですよ。15歳からこの仕事をして、気がついたら42年。他の仕事もしたことないし、現実的に考えたら今の仕事以外のお金の稼ぎ方がわからなくて。競馬をやってきたから貯蓄もない(笑)。そう思ったときに、働けなくなったら生きてる価値があるのかなって。

  僕は昭和の人間なんで、「男が稼いでなんぼ」みたいな考えが正直残ってるんです。今ダメなのはわかってるけど、自分のこととしてはどうしてもね。俺の両親がそうだったっていうのもあるのかな。

――見栄晴さんにとって、お母様の存在はやはり大きいですね。